2013年アメリカ映画。
原題は The Secret Life of Walter Mitty(ウォルター・ミティーの秘密)
監督・主演は『ナイト・ミュージアム』シリーズでお馴染みのベン・スティラー。
原作は1939年に発表されたジェームズ・サーバーの短編小説『虹をつかむ男』。
コメディ冒険ファンタジーと言ったところだろうか。
リストラにおびえ、ヒーローにして恋愛勝者たる自分を白昼夢する冴えない中年男ウォルターが、ひょんなことから、海・山・空の本物の冒険に巻き込まれ、少年の頃夢見ていた世界を体感し、しまいには声もかけられなかった社内の意中の女性と結ばれる。
ワクワクした人生に必要なのは、ほんのちょっとの勇気――‘いつもの自分、いつもの習慣’を捨て去る無分別――というのがテーマである。
確かに、人は歳をとるにつれて保守的になる。変化を嫌うようになる。
どうなるか先の予測のつかない変化に身をさらすよりも、それがどんなにつまらなかろうと、因循姑息の毎日にどれほど窒息しそうになっていようとも、ひたすら現状維持を望む。
精神科医の春日武彦がいみじくも書いていたように、
人間は基本的に驚くほど現状維持と排他的傾向へのこだわりが強く、状況の変化を望むよりは、けっきょくは「今のまま」を選びたがり、多少の不幸には平気で甘んじてしまうものである。
人間の変化に対する恐怖と忌避感の根幹には、死に対する恐怖――とりわけ「自分(アイデンティティ)の死」に対する恐怖がある。
だから、日常の退屈で臆病な‘自分’を嫌悪する一方で、それが崩壊することを怖れ、知らぬ間に過去からの経緯を守ろうとして保守化していくのである。
この傾向を打ち破るだけのインセンティヴとなりうるもの--その一つが恋愛なのであろう。
この映画、ダイナミックな自然を捕らえた映像も美しく、語りもスマートで、テンポも軽やかで、役者も揃っている。主人公の母親を演じるシャーリー・マクレーンと、神出鬼没のカメラマンを演じるショーン・ペンがいい味出している。とくに、シャーリー(=『アウト・オン・ア・リム』)が出てくると、どうしたって精神世界的な色合いが濃くなってしまうのは避けられまい。
評価:B-
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!