2011年アメリカ、イギリス制作。

 ロバート・ダウニー・Jr=ホームズ、ジュード・ロウ=ワトソンによるコンビの続編。監督は前作同じガイ・リッチー。
 前回同様、ユーモアとスピードとスリル満点の展開である。ミステリーと謎解き部分が弱いのが残念であるが、推理の鮮やかさというのは文章にはできてもなかなか絵にはしにくいものだし、派手さはないから、どうしてもアクション中心になるのだろう。
 ただ、昨今のアメリカ映画の特徴だと思うが、あまりに展開が目まぐるしくショットの切り替えが速すぎる。観ていて疲れてしまう。ショット数を数えたら相当なものだろう。タルコフスキーやベイルマンやテオ・アンゲロプロスの映画の10倍近くあったりして・・・。
 
 たまにケーブルテレビでアメリカ製のドキュメンタリーを見るが、ショットがめちゃくちゃ速い。目まぐるしく画面が替わる。3秒と同じ画面が続くことはない。で、あっという間に一番組が終わってしまう。余韻も残像も味わいもない。そう、ドラマもドキュメンタリーもまるでCMみたいに感じる。
 今の時代、このくらいのスピード感と変化がなければ、視聴者を惹きつけておくことができないのであろう。退屈な映像によって途中でチャンネルを替えられては困るからだろう。それが映画にも波及している。CGによる映像の演出化が拍車をかける。とにかく、目先を次々と替えて展開を速くすることで、集中力も忍耐力も無い視聴者をつなぎとめるわけだ。鶏と卵のようなもので、視聴者はますます集中力と忍耐力を失っていく。
 こうした傾向の背景にあるのは、やっぱりテレビゲームだろう。テレビゲームの映像速度とCG効果と物語展開の速さ(ずさんさ)に慣れてしまった新世代の視聴者にとって、一時代前のテレビドラマ(たとえば『北の国から』とか山口百恵の「赤いシリーズ」とかNHK大河ドラマとか)は、じれったく退屈に感じることだろう。「この続きは一週間後をお楽しみに!」なんて、わざわざ張った網に穴をあけて視聴者という魚を逃がすようなものである。

 視聴者が求めているのは、もはやドラマではない。単なる感覚刺激なのだ。物語は、感覚刺激を準備するための、あるいは正当化するためのダシに過ぎないのである。
 既存の「物語」の中にどっぷり浸かってベタな喜怒哀楽している他者の姿を観るのは確かに鬱陶しくて阿呆くさい(例『渡る世間は鬼ばかり』)。けれども、「物語」を紡ぐことから逃避して感覚刺激に走るのは、幼児への退行という気がする。愛のないセックスみたいなものだ。

 モリアティ教授を演じるジャレッド・ハリスが如何にも天才肌の黒幕といった感じで素晴らしい。 
 

評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」 

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」
     
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!