2012年アメリカ映画。
トム・クルーズがいかがわしい説教師を演じた『マグノリア』(1999、ソルティ評価B+)で作家としてのセンスの高さと腕の冴えを見せてくれたアンダーソン監督。
ヴェネツィア国際映画祭監督賞を獲っているだけあって、この作品も上々の出来で143分の長尺をまったく飽きることなく楽しむことができた。
主役の二人、『カポーテ』(2005)でオスカーを獲ったフィリップ・シーモア・ホフマンと、『グラディエーター』(2000)の皇帝役の印象が強いホアキン・フェニックスの演技もはまっていて、新興宗教の魅力あるグル(ランカスター・トッド)とトラウマに苛まれるその門弟(フレディ・クエル)との、家族を含め周囲の誰にも理解され得ない、世代や育ちを超えた男と男の強く奇妙な絆が描かれる。
それは恋愛でもなく友情でもない。無理にあてはめれば擬似の父子関係と言うこともできようが、二つの魂が惹かれあうさまは「前世」とか「因縁」という言葉をついつい用いだしたくなる。
子供のようにあけっぴろげで幸福感にあふれ神秘的なトッド・ランカスターのモデルは、アメリカの新興宗教「サイエントロジー」の創始者L・ロン・ハバートではないかと憶測されたようだが、自分はロシアの神秘家グルジェフを連想した。
「グル」という語は、サンスクリット語で「指導者」「教師」「尊敬すべき人物」などを意味するらしい。グルジェフ、ラジニーシ(和尚)、クリシュナムルティ、ラマナ・マハリシ、サイババ、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー、麻原彰晃、大川隆法、文鮮明、無明庵EO・・・・。
世にグルはあまたある。自分はそういう人物に本では接するけれど直接的には接してこなかった。自分の中の依存心が引き出されて洗脳されてしまうのが怖くもある。
だがこの映画のフィリップ・シーモア・ホフマンのようなグルが目の前に現れたら、ついて行ってしまいそうだ。
あるいは天草四郎時貞ばりの美少年か。
評価:B-
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!