2007年アメリカ映画。
目の前で息子を轢き逃げされた父親と、轢いた父親。
被害者と加害者をめぐる物語である。
加害者を目撃した者はおらず、車のナンバープレートも読まれず、現場には確たる物証も残っていない。
このままなら、この二者が出会うのは難しかったであろう。
運命のいたずらか、警察の犯人捜しに失望した被害者イーサン(ホアキン・フェニックス)は、弁護士に事件の捜査を依頼する。
その弁護士こそが、加害者ドワイト(マーク・ラファロ)であるとも知らずに・・・。
こうした異様な設定の中で、鏡のように向かい合う二人の父親(被害者と加害者)の心理が丁寧に描き出され、事故後のそれぞれの家族とのやりとりや関係の変容する様がドラマを深めてゆく。
どの演技者も達者であり、登場人物のそれぞれの行動には説得力があり、全体に見ごたえのあるドラマとなっている。
心の綾を丁寧に描くだけで、十分いい映画になりうるという見本である。
濃密な時間が過ごせた。
ひとつだけ気になるのは、画面が暗すぎること。
夜のシーンが多いのだが、画面が暗すぎて目を凝らさなければならないので、疲れてしまう。
「夜は暗いのが当たり前」ではなくて、暗さが必要なシーンと、そうでないシーンとで、もっと工夫して明るさにメリハリをつけてくれれば、まだ我慢のしようもあるのだが・・。
なんだか全体的に暗い。
話の暗さを、画面の暗さによって保障する必要はないだろうに。
「光が強いほどに影も濃い」って、月影先生も言ってたぞ。(from『ガラスの仮面』)
評価: B-
参考:
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」 「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」 「未来世紀ブラジル」 「シャイニング」 「未知との遭遇」 「父、帰る」 「フィールド・オブ・ドリームス」 「ベニスに死す」 「ザ・セル」 「スティング」 「フライング・ハイ」 「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」 「フィアレス」 ヒッチコックの作品たち
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」 「ポルターガイスト」 「コンタクト」 「ギャラクシークエスト」 「白いカラス」 「アメリカン・ビューティー」 「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」 「ハムナプトラ」 「マトリックス」 「アウトブレイク」 「タイタニック」 「アイデンティティ」 「CUBU」 「ボーイズ・ドント・クライ」 チャップリンの作品たち
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」 「ニューシネマパラダイス」 「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ~。不満が残る。
「お葬式」 「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」 「パッション」 「マディソン郡の橋」 「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!