JR青梅線の青梅駅から軍畑駅まで、青梅線と青梅街道と多摩川に沿って連なるなだらかな丘陵。道も道標も整備されている。途中疲れたら、いくつかある分岐で尾根をはずれて、最寄り駅に下ることができる。自分の体力と気分とペースに合わせて気軽に歩ける初心者コースと言える。とはいえ、最高到達点は500メートル近い。それなりの装備は必要である。

青梅丘陵 002日時  4月22日(火)
天気  くもり時々晴れ、のち一時雨
行程  
 9:45 JR青梅線・青梅駅
      歩行開始
10:00 ハイキングコース入口
11:00 矢倉台休憩所
12:00 三方山
12:35 辛垣(からかい)城跡
青梅丘陵 02312:50 雷電山頂上
      昼食
13:30 榎峠(ハイキングコース出口)
13:55 JR青梅線・軍畑駅
      歩行終了
所要時間  4時間10分(歩行時間3時間30分+休憩40分)

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 青梅駅周辺は昭和レトロを売り物にしている。古い造りの建物や昔懐かしい映画の看板が並んでいて一度ゆっくり散策したいと思うのだが、やはり街より森。文化より自然。
 赤塚不二夫会館の古びた案内看板が立つハイキングコース入口から矢倉台休憩所までは、ジョギングするにもウォーキングするにも犬の散歩するにも小学生の遠足にも絶好の、広々とした気持ちのいい尾根道が続く。
 萌える新緑の間から、富士山(本日は雲隠れ)を背にした丹沢・道志の山々、川乗山を背にした奥多摩の山々、そして蛇行する多摩川に縁取られた青梅市街を臨むことができる。道脇のシャガやツツジが美しい。

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 と、不意に出現せし、串団子のような奇っ怪な塔。
 近寄ってみると、弥勒菩薩と思われる金色の像が中におわす。
 その隣の石板には老夫婦の肖像のレリーフと「太陽聖髪塔創建の趣意目的」と書かれた一文が彫られていた。
 曰く、

昭和四十二年十一月三日創主木村天覚は天啓を得て以来宇宙の原理原点に○順し、釈迦の教えを体し人が誰でも生きながら自分自らの手で自分の分身である聖髪(頭髪)によって即身成仏し永遠の生命を人類と共に永久に伝えんことを顕現するに至った。
この具現の証に中国高僧無除大師渡来のこの地に世界では始めてでありメッカを期待する岩盤上に不動永久不変不滅原子爆弾耐○構体のこの塔を建立しこれに内包をすることにより完全となった。(続く)

 解読不明な文字がある上に、文意が取りづらい。察するところ、頭髪を塔の中に保管することで生きながら即身成仏できるということらしい。原子爆弾にも耐えうるというのがすごい。
 文末に「太陽聖髪教団」と記しているところから見ると宗教団体らしいが、信者になるのはどういう人たちなのだろうか。髪フェチ? 薄くなっていく頭髪(=精力の減退)に焦りを感じるお父さんたち?

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 矢倉台から先は山道となる。
 おばさま軍団や遠足の小学生、メタボパパなどの姿が消えて、時折トレランする人に追い抜かれるだけの、ほぼ一人きりの山歩きとなる。
 三方山は前面が開けて、武甲山、伊豆ヶ岳をはじめとする奥武蔵のすばらしい眺望が得られる。ふもとに採石場が見えるのは興ざめであるが・・・。
 辛垣城は、戦国時代の豪族三田綱秀の居城であった。北条氏照の軍勢に攻められた綱秀は岩槻城に落ちのびて、そこで自害した。その氏照もまた、豊臣秀吉の軍に敗れて自害したのであった。城跡とは名ばかり、鬱蒼とした木々に覆われて今は見る影もない。

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 天気予報では夕方からにわか雨の可能性とあった。
 雷電山に差しかかる頃、一瞬閃くものがあり、ぽつぽつと降ってきた。
 さすが名前のとおりの山である。
 道を急ぐ。
 山頂からの眺望は悪くないが、やはり採石場がここにもある。
 早々に昼食をすませる。

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 下るに従い、雨足が強くなってきた。
 ハイキングコース出口からは傘をさして軍畑駅に向う。
 雨にぬれたカラフルな花々が新鮮である。
 道端に見かけた不動明王は、のどかな田舎の風景にそぐわないおっかない顔で、道行く人を威嚇していた。


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 河辺駅で途中下車。
 駅前のビル5階にある梅の湯にくつろぐ。
 風呂上りの生ビールでフルコース終了。

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