坪山は4月上旬~5月中旬にかけて、山頂付近にヒカゲツツジ、イワウチワ、イワカガミ、ミツバツツジなどが咲き誇る花の山である。開花期にはたくさんの登山者で混雑する。
その時期をはずして登山する自分は、なんて天邪鬼なのだろう。
花より団子ならぬ、花より静寂。
●歩いた日 5月25日(日)
●天気 晴れ
●行程
08:30 JR中央線上野原駅
富士急山梨バス・松姫峠行き乗車
09:25 御嶽神社バス停
歩行開始
11:00 山頂
昼食
11:45 下山開始
13:50 びりょう館着
歩行終了
14:43 中学校前バス停より乗車
15:32 上野原駅着
●所要時間 4時間25分(歩行3時間05分、休憩80分)
松姫峠行きのバスは満席であった。そのうえ、もう一台臨時運行されていた。
やはり花の時期終了とは言え、展望の良い坪山は人気抜群なのか。
――と思っていたら、登山口のある御岳神社バス停で下りたのは自分一人。他はみな松姫峠まで行って小菅の湯に浸かる予定らしい。
ほっ
それにしても上野原市は広い。1時間バスに乗ってもまだ市内である。
バスを降りると、穏やかな里山の風景と鶴川の清流に、一気に清新な気分になる。
御嶽神社は、天正17年(1589年)2月8日建立、氏子戸数は23戸、ご祭神は大己貴命(おほむなち)、すなわちスサノオの息子である大国主。因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)の主人公である。
簡素な木の鳥居をくぐって、参道というよりまんま山道を登ったところに拝殿(本殿)はある。こちらも掘っ立て小屋のような古い木の社。地元の人々が清掃作業中であった。
許可を得て拝殿の中に入って拝むと、意外にも結構なパワーを感じる。きちんと祀られているからだろうか。もう一度外に出て、社を撮影しようと構えたところ、屋根のあたりに光が宿っていた。
いったん下って、鳥居の左側から登山道にとりつく。
西原の村の風景に心和みながら、高度を上げていく。
清流を渡って、杉林の中を進む。
歩きやすい道である。
あっという間に尾根道に出る。
ここからは緑あざやかな雑木林の中を行く。
途中、結構急な登りや幅の狭いがれ場があるが、ロープが設置されているから注意すれば問題なし。
シャツは汗でぐっしょりになったが、たいした疲れも感じないうちに山頂に到着。
見晴らしは良い。北に三頭山、南に権現山が大きい。富士山も見えるらしいが、今日は残念。
山頂はそこそこの広さ。弁当を広げていたら、男女3名が到着。
隣で弁当を広げた彼らの話を聞いていると、この坪山で最近滑落死があったそうな。
山はあなどれん。
頭の回りを飛び回る羽虫に閉口しつつ昼飯をたいらげて、下山開始。
咲き遅れたツツジもゆかしいではないか。
「びりゅう館」と書かれた標識をたよりに、雑木林の中を歩くと、すがすがしい気持ちに満たされる。途中で2回、太い木の幹に背中をあずけて黙想する。
びりゅう館は食事休憩やそば打ち体験のできる西原観光の窓口。
「NPO法人さいはら」が管理を委託されている。
ここで、水車で挽いた粉を使った西原産の蕎麦を食べる。
深緑がかった、歯ごたえの良いそば。
う、うまい!
坪山にきたら、この蕎麦を食べなきゃ損。
帰りは、藤野駅でおりて「やまなみ温泉」にゆっくり浸かって、ビールで締める。
やっぱり、花より団子か。