●天気 晴れときどき曇り
●行程
08:40 富士急行線「富士山」駅・内野行きバス乗車(富士急山梨バス)
09:05 内野バス停着
歩行開始
09:35 送電鉄塔
道に迷う
10:35 立ノ塚峠
11:35 杓子・鹿留分岐点
11:45 鹿留山頂
12:30 杓子山頂
昼食休憩
13:50 下山開始
15:15 不動の湯
歩行終了
●所要時間 6時間20分(歩行時間4時間20分+休憩時間1時間50分)
9月30日の挫折を今年中にリベンジすべく、鹿留山・杓子山に再チャレンジ。
天気は上々。紅葉と富士山の壮麗かつ雄大な景色が楽しめるであろう。
・・・と期待したのだが、富士急行線富士山駅に到着したら、ホームから見える神の山は五合目まで雲隠れ。
どうなることか。

前回より一本早いバスに乗り、歩行開始地点となる内野バス停に着く。
見慣れた看板、見慣れた風景。
が、前方に我を待つ鹿留と杓子の山容はすっかり冬バージョン。てっぺんに白く見えるはまさしく雪。そう、昨夕この地域ではみぞれが降ったのである。
滑らなければよいが・・・。


前回道を間違えた因縁の道路工事現場に来た。
前回と同じ警備員さんが現場入口に立っている。
「杓子行くの? 雪が降ったから足元気をつけて」
自分(ソルティ)のことは記憶にないようだ。思い出してもらう必要もあるまい。
工事は整地が済んで、かなり進展していた。
前回、誤って入った右手の山道は通行止めになっていた。
そうだ。この標識が間違いの元。やっぱり、わかりにくい。そもそも分岐点に立っていないのがおかしい。


左手の道を進むと、すぐに右側に送電鉄塔が現れた。
これが手持ちのガイドブックに載っている(正しい)鉄塔だったのだ。
今回はもう大丈夫。
と思っていたら、またしても道を間違えてしまった。

森を壊して新しく造られている道路の行き止まりに来て、道は左右に分かれる。
そこにまたして標識がない!
左右の道を調べるに、右側の道の真ん中に工事現場によくある立看板が進入をふさぐように置かれている。その先は小暗い森の中に消えている。左側の道は広くて歩きやすそうで、日が当たって明るい。
左側だろうと見当をつけた。
敷き詰められた落ち葉の下が石畳なのが若干気になるが、登っていく道の先には鹿留山の頂が望まれる。こちらで良いのだろう。
水無しダムだか砂防ダムのようなコンクリート建築を左の谷底に見ながら高度を上げていく。
標識が出てこない。
どうも変だ。
こんなダム状の建造物があるなら、ガイドブックで言及しないはずがない。
リュックを下ろして、ガイドブックを再確認。
地図を見ると、送電鉄塔の先の雨乞山分岐で道が二つに分かれている。そこで右側に進むとある。左側の道は鹿留山頂の方にまっすぐ向かっているが、途中で切れている。
・・・・・・・・・・。
さっきの分岐点が雨乞山だったのか。
よく調べない自分も悪いが、あそこが雨乞山だとどうやって知りようか。
やっぱり、標示が不親切。
道路工事もいいが、工事により地形が変わり今まであった山道が消えるのだから、建設会社はハイカーのための案内標示に責任を持ってほしい。
おそらく自分以外にも道を誤るハイカーが多いことだろう。
雨乞分岐まで戻り右手の道に入る。
入って少し進んだところに、「杓子山→」の標識があった。
(だから、分岐になければ意味がないんだって!)
と、いらいらしながら歩を進める。
いけない、いけない。これではせっかく山に来た意味がない。
休憩して、心と体を休ませる。


熊の看板がある(これだけは親切)立ノ塚峠を通過して、いよいよ尾根道に入る。
アップダウンが続く。
左手のすっかり葉を落とした木々の間から富士山が見えるはずなのだが、やっぱり雲隠れ。気がつくと、空一面雲に覆われて、お日様の所在もつかめない。天気予報では晴れると言っていたが・・・。
鹿留(ししどめ、と読む)の名の由来は、「源頼朝が富士の巻狩りの折、頼朝の臣仁田四郎忠常がこの地で手負いのシカを射止めた」という言い伝えにある。一方、杓子(しゃくし)とはザレ場(崩壊地)を指す言葉だそうで、なるほど杓子山の南西面は大きなザレ場が見られる。
山頂付近は岩場が多く、それまでのなだらかな山道とは打って変わって、恐怖と緊張と多量の発汗を要するスリリングな岩登りが続く。そのうえ、溶けた雪のために足元が滑りやすくなっている。岩に据え付けられたロープを頼りに、しっかりと手の置き所、足の置き所を確かめながら、よそ見しないで、余計なことを考えないように、一歩一歩登っていく。
たいへんな作業ではあるが、このくらいの手ごたえがあってこそ山登りは面白い。
鹿留と杓子の分岐まで来て、ホッと一息。
雪をかぶった熊笹の道を鹿留山頂に向かう。
山頂には立派なブナの木がある。いまはすっかり裸だが広葉樹に囲まれた静かな頂。眺望はあまり良くない。




さきほどの分岐まで戻って、杓子山頂に向かう。
道は歩きやすいが、アップダウンが続き、なかなかゴールが見えない。
いくつかのピークから見える雄大な風景にパワーをもらって邁進する。

山頂到着!!
リベンジしたぞ~!


山頂はそこそこ広くてテーブルとベンチがあり、昼食休憩に最適である。
なによりも360度のパノラマビューに圧倒される。
東は、後にしてきた鹿留、御正体を越え、丹沢の山々を。
南は、石割山の背面に神秘的に光る山中湖を。
西は、富士吉田市を取り囲む河口湖と湖畔の山々、そしてはるか彼方の南アルプスを。
北は・・・。
北が素晴らしい。
東北から北西にかけて開けているので、中央線と富士急行線の沿線の山々がすっかり見渡せる。
三ツ峠山、本社ガ丸、尾崎山、高川山、鶴ガ鳥山、九鬼山、高畑山、百倉山、扇山、権現山、生藤山、陣馬山・・・。
自分がこれまで登ってきた山々がなんだか総集編のように勢ぞろいして、箱庭の粘土細工の山のように可愛らしく並んでいる。それぞれの山と富士山との位置関係もすっかり把握できる。
これら中央線沿いの山々を囲繞するは、奥多摩・奥武蔵の山々、大菩薩嶺、甲府の山々、そして北アルプス。
北の空は晴れていて、空気が澄んでいるので、遠くまですっきりと見渡せる。
一方、南の空は一面厚い雲だらけ。
目の前に大きく見えるはずの富士山が残念ながら見えない。一つの雲の塊が風で流れても、東からまた分厚い雲が次々と押し寄せてくる。どう見ても今日はお姿拝見ならぬようだ。
正午を過ぎた太陽も、たまに雲間から覗き込む程度。日陰になった山頂は思いのほか寒い。



空いているテーブルとベンチで昼食をひろげる。
おにぎり(昆布と梅干)、いわしの缶詰、ゆで卵、ホウレン草とニンジンと油揚げの炒め物、お茶は冷たいのを入れてきたが熱くてもよかった。

ここまで途中出会ったのは、トレイルランの男性一人、カップル一組だった。杓子山頂では二組の夫婦と会った。自分を入れて都合7名。静かな山歩きだった。
紅葉を見るにはちょっと遅かったようだ。
一方の目的である富士山だが・・・

山頂にいた二組の夫婦はしばらくの滞在後、あきらめて下山して行った。
この厚い雲の大軍を動かし、ちょっとでも山頂を覗かせるには、厩戸の王子か空海かモーゼのような超能力が必要だ。
いくらなんでもこの空模様では無理だろうと思ったけれど、慈悲の瞑想を行なう。
上座部仏教に伝わる慈悲の瞑想は、その効用として次の11が挙げられている。
1. 安眠できる。
2. 安楽な目覚めが得られる。
3. 悪夢を見ない。
4. 人に愛される。
5. 人間以外の存在(神々)にも愛される。
6. 神々によって守られる。
7. 天災や人災を免れる。
8. 心の統一が容易となる。
9. 晴れやかで明るくなる。
10. 良い死に方ができる。
11. 死後、梵天界に再生できる。
これに自分はいま一つを付け加えたい。
12.天候を味方につけることができる。
これまでにもいろいろな山行きで、悪天候とは言わないまでも雲行きが怪しいときに、自分は慈悲の瞑想を行なってきた。それによって、何度も雲の流れが変わり、天候が回復したり、雨が降るタイミングが上手い具合にずれたり、ふいに霧が晴れて見事な景色が現れたり、という経験をしてきた。
これまではそれを半ば冗談まじりに扱っていた。たんなる偶然だろうと受け取っていた。
しかし、今回ばかりは偶然にしてはできすぎる。
誰がどう見たって、富士山を拝められるような状況ではなかった。
幾重もの屏風と御簾とで姿を隠したかぐや姫のような状態だったのである。
いくら待っても雲が途切れる時が来るとは思えなかったのである。
山頂に一人きりになって慈悲の瞑想をしてからわずか5分後、驚いたことに、まず太陽が顔を出した。そして、五合目までを覆っていた厚い雲がなんと上下に(!)分かれたのである。
富士山の前面の雲だけが、上と下にきれいに分かれて、その雲が造る額縁の間から山頂がひょいと顔を出した。
こんなことがあるのだろうか!



不思議がっていても仕様がない。
シャッターチャンスとばかりカメラを向けたが、逆光である。どうやってもデジカメの画面に光の柱が縦に入ってしまう。せっかくのチャンスなのに・・・。
と、何たることか。
上に舞い上がった雲が触手を伸ばすように太陽を隠したのである。


もうこのくらいで十分と思うだけ撮りまくって、下山開始した。
山頂を離れること正確に10分、富士山は再びすっかり雲に覆われてしまった。
その後、下山するまで雲が晴れることはなかった。
この日、杓子山頂から富士山をきれいに眺めることができたのは、おそらく自分一人だったろう。
慈悲の瞑想、おそるべし。
不動の湯は、アトピーはじめ皮膚病に効くというので有名である。
全国から皮膚病に悩む人々が訪れるらしく、旅館の傍らにある湧き水をポリタンク容器で汲みに来る人が連日あとを立たない。NHKでも「全国指折りの良質の湯」と紹介されたことがあるそうだ。
旅館の裏には硯水不動尊が祀られている。
例によって弘法大師がらみの逸話が残っている。興味のある人はこちらへ。


日帰り入浴1000円のところ、もう時間が遅いから500円にまけてもらった。(慈悲の瞑想の効用4)
浴室はアトピーの人用と一般客用とに別れている。造りは特に凝ったところもない普通の室内風呂である。無色透明の単純泉。匂いもない。
湯船に浸かって目が覚める。
水の力がはんぱない。
他に入浴客がいるのもはばからず、腹の底から思わず「ああ!」と声が出る素晴らしさ。
これは一度入ったら、やみつきになる。
山登りの疲れが一気に吹っ飛んだ。
隣で浸かっている70がらみの人と会話する。
聞くと、この温泉を守るボランティアをしているとか。地元の人である。
「この水は本当にすごいよ。マイナスイオンが豊富で、汲んでから10年間は絶対に腐らない。保健所の人が調査に来ても雑菌でひっかかったことがない。」
富士山系の水ではなく、杓子山の山腹からここだけ湧いているとのこと。鉱泉であるから源泉は冷たい。冬はマイナス10度を下回ることもあり、当然凍る。温泉は源泉を湧かしたものなのである。
旅館の受付には、昭和59年1月1日(30年前!)に汲まれた水が、一升瓶に入って置かれていた。
たしかに澄んでいる。

旅館にはふもとの町から日帰りのばあちゃん連中がたくさん来ていた。
マイナスイオンの効果で若返って陽気にはしゃぐばあちゃんたちと、旅館のバンに同乗し、富士山駅まで送ってもらった。
富士山駅で名物吉田うどんを食べ、心も体も胃袋も100%富士吉田を満喫した幸福な一日を終了した。

生きとし生けるものが幸福でありますように。
●歩いた日 3月21日(木)
10:40 八重山ハイキングコース入口
15分も歩くと最初の目的地である牛倉神社に到着。上野原の鎮守で、祭神の筆頭に挙げられているのは保食神(うけもちのかみ)である。この女神は、アマテラスの弟であるツキヨミによって殺されてしまうのだが、その屍体の頭からは牛馬、額からは粟、眉からは蚕、目からは稗、腹からは稲、陰部からは麦・大豆・小豆が生まれたと言う。つまり、食べ物の神様である。しっかり拝んでおこう。
境内には「撫牛」と呼ばれる腹這いになった牛の像がある。説明板にこうある。

















上野原駅北口から100メートルあたりの停留所から秋山温泉行きの無料送迎バスが出ている。15時のバスに乗って秋山温泉に行く。
●歩いた日 2月21日(木)








下りは富士急行線・禾生(かせい)駅に着くルートを選んだ。
山道を抜けて林道に下りて一安心。



1月14日に降った大雪(都会では)がまだ残っている可能性を考慮しながら、この時期に日帰りで登れる山を探す。冬は眺望がよいので富士山の見える山。できたら、未踏のところ。
●歩いた日 2月3日(日)
東桂駅で下車した登山客は自分一人。今日も山独り占めか。

音のする方に目を凝らしてみると、小鳥が木の幹にとまって嘴で木をつついている。双眼鏡を取り出して焦点を合わせる。


山頂でも携帯のアンテナは立つ。



自分の持っているブルーガイドは2002年発行。そこでは、富士見峠から向原峠を経て向原の集落に下りるルートが紹介されている。それだと、下山してから林道を1時間ばかり歩くことになっている。




06:45 払沢ノ滝停留所下車
13:00 仲の平分岐
数馬へと分け入っていく檜原街道の左手に笹尾根、右手に浅間尾根が長々と横たわっている。どちらも峠から峠へとたどる稜線歩きが楽しめる。
払沢ノ滝は「日本の滝100選」に選ばれた東京都ではただ一つの滝である。4段の滝で、1段目の落差が26m、全段で全長60m。その形状が僧侶の払子(ほっす)を垂らした様に似ていることから、かつては払子の滝と呼ばれていた。
バス停から滝へと続く沢沿いの小道が、なんとも気持ちよい。とくに今日は朝早いので、大気の新鮮なことこの上ない。人もいない。早起きして来た甲斐があった。途中にある郵便局らしき木造の建物が、周囲の緑と調和してこれまた粋である。

展望台から少し下りたところに広い休憩所がある。芝の植えられた円形広場を取り囲んで、ベンチや東屋が並んでいる。ここで早い昼食にする。
でも、そのおかげで9月にしてなお凄まじい日射から身が守られる。5キロめいっぱい直射日光にさらされ続けたら、身が持たないだろう。
峠道らしく、その昔旅人が道中の安全を願った石仏があちこちに見られる。
7 姫路城
13:20 ロープウェイふもと駅着
この時期の平日は人が少ない。昇仙峡口でバスを降りたのは自分一人だった。たいていの人はゴールである仙娥滝の上まで行き、そこから下って滝の周辺の渓谷を楽しむようだ。















