2008年デンマーク映画。
VJとはビデオジャーナリストの意である。
軍事政権の圧政に抵抗するビルマ国民たちの闘いの様子をハンディカメラで撮り続け、撮った映像を国外メディアに流す「ビルマ民主の声」のジャーナリスト達。苛烈な情報統制が敷かれる中、撮影現場を見つかったら、投獄は疎か、拷問や処刑も覚悟しなければならない。
彼等が命を張って撮り続けた膨大な映像を素材としてオステルガルド監督が再構築した、2008年当時のビルマの現状を伝えるドキュメンタリーである。
全編、事実のもたらす重みに圧倒される。
これが世界で起こっていることなのである。
ビルマの現状・・・・。
アウンサンスーチーが自宅軟禁を解除され国会議員に当選し、ヨーロッパ諸国を訪問したことに象徴されるように、ビルマは今、ようやく民主化への道を歩もうとしている・・・・かに見える。
これが本物ならば喜ばしいことであるけれど、「議席の4分の1は軍人が占めなければならず、重要な法案は全議員の4分の3以上の賛成がなければ否決される」という、民主国家の常識からすれば噴飯ものの法律に見られるように、今でもしっかりと実権を握っているのは軍である。
一度握った権力をそう簡単に手離すとも思えないし、完全な民主化が成し遂げられた暁には、これまで軍が国民達に対して行ってきた様々な極悪非道を断罪する声が上がるのは必至である。(その時には、この映画は世界が認める貴重な証拠となるであろう。)
軍としては、これまでの政策や行為については個人的にも組織的にもいっさい責任を問われることはないという確証を得ない限り、雪崩式の民主化を阻むことだろう。
さて、国民は許すのか、許さないのか。
西欧諸国なら当然許さないだろう。
イスラム諸国も許さないだろう。「目には目を、歯には歯を」である。
だが、ビルマは筋金入りの仏教国である。
この映画でも分かるとおり、国民達の僧侶に対する尊敬の念は日本とはまったく比べものにならないくらいに篤い。VJの一人でかつて投獄された経験を持つ海千山千のデモの英雄でさえ、寝る前にはブッダを描いた掛け軸の前で礼拝するのが日課となっている。
この映画を見た欧米人は、ビルマ国民のデモのやり方にびっくりしたことだろう。デモ隊はまったく攻撃しない、木片一つの武器も手にしない、軍に攻撃されてもやり返さない、デモの最中に相手のために祈りさえする。
それは仏教徒ならではのデモ行進である。
この映画の功績は、ほんの少し前のビルマの悲惨な現状を世界に伝えた点ばかりではない。
仏教国とは何なのか、仏教の僧侶とは大衆にとってどういう存在なのか、仏教を信仰する国民とはどういうものなのかを、キリスト教国の人々にあからさまに知らしめたのである。
世俗の楽しみ・喜びを擲って、生きとし生けるものへの慈悲喜捨を願い、托鉢をし、修行をし、在家の心の面倒を見、いざというときは命を捨てて在家のために立ち上がる僧侶たち。その存在がいかに大きなものか。
寺から街に繰り出すえんじ色の袈裟を着た裸足の僧侶達の列を見るにつけ、これをして「小さな乗り物」と馬鹿にするのなら、「大きな乗り物」を標榜する日本の仏教の坊様達は、よっぽど庶民のために尽くしてくださっているのだろう、と思うのであった。
評価:B+
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
ヒッチコックの作品たち
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
チャップリンの作品たち
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!
VJとはビデオジャーナリストの意である。
軍事政権の圧政に抵抗するビルマ国民たちの闘いの様子をハンディカメラで撮り続け、撮った映像を国外メディアに流す「ビルマ民主の声」のジャーナリスト達。苛烈な情報統制が敷かれる中、撮影現場を見つかったら、投獄は疎か、拷問や処刑も覚悟しなければならない。
彼等が命を張って撮り続けた膨大な映像を素材としてオステルガルド監督が再構築した、2008年当時のビルマの現状を伝えるドキュメンタリーである。
全編、事実のもたらす重みに圧倒される。
これが世界で起こっていることなのである。
ビルマの現状・・・・。
アウンサンスーチーが自宅軟禁を解除され国会議員に当選し、ヨーロッパ諸国を訪問したことに象徴されるように、ビルマは今、ようやく民主化への道を歩もうとしている・・・・かに見える。
これが本物ならば喜ばしいことであるけれど、「議席の4分の1は軍人が占めなければならず、重要な法案は全議員の4分の3以上の賛成がなければ否決される」という、民主国家の常識からすれば噴飯ものの法律に見られるように、今でもしっかりと実権を握っているのは軍である。
一度握った権力をそう簡単に手離すとも思えないし、完全な民主化が成し遂げられた暁には、これまで軍が国民達に対して行ってきた様々な極悪非道を断罪する声が上がるのは必至である。(その時には、この映画は世界が認める貴重な証拠となるであろう。)
軍としては、これまでの政策や行為については個人的にも組織的にもいっさい責任を問われることはないという確証を得ない限り、雪崩式の民主化を阻むことだろう。
さて、国民は許すのか、許さないのか。
西欧諸国なら当然許さないだろう。
イスラム諸国も許さないだろう。「目には目を、歯には歯を」である。
だが、ビルマは筋金入りの仏教国である。
この映画でも分かるとおり、国民達の僧侶に対する尊敬の念は日本とはまったく比べものにならないくらいに篤い。VJの一人でかつて投獄された経験を持つ海千山千のデモの英雄でさえ、寝る前にはブッダを描いた掛け軸の前で礼拝するのが日課となっている。
この映画を見た欧米人は、ビルマ国民のデモのやり方にびっくりしたことだろう。デモ隊はまったく攻撃しない、木片一つの武器も手にしない、軍に攻撃されてもやり返さない、デモの最中に相手のために祈りさえする。
それは仏教徒ならではのデモ行進である。
この映画の功績は、ほんの少し前のビルマの悲惨な現状を世界に伝えた点ばかりではない。
仏教国とは何なのか、仏教の僧侶とは大衆にとってどういう存在なのか、仏教を信仰する国民とはどういうものなのかを、キリスト教国の人々にあからさまに知らしめたのである。
世俗の楽しみ・喜びを擲って、生きとし生けるものへの慈悲喜捨を願い、托鉢をし、修行をし、在家の心の面倒を見、いざというときは命を捨てて在家のために立ち上がる僧侶たち。その存在がいかに大きなものか。
寺から街に繰り出すえんじ色の袈裟を着た裸足の僧侶達の列を見るにつけ、これをして「小さな乗り物」と馬鹿にするのなら、「大きな乗り物」を標榜する日本の仏教の坊様達は、よっぽど庶民のために尽くしてくださっているのだろう、と思うのであった。
評価:B+
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
ヒッチコックの作品たち
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
チャップリンの作品たち
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!