009 20代のOLだった岡崎杏里の父親は、ある日、糖尿病由来の脳出血により認知症に。一人で家業を切り盛りしていた母親も、続いて卵巣ガンで手術入院。仕事のかたわら、介護と看病と家事と、やはり要介護状態になった犬の世話を一人でやらなければならなくなった著者は、心労のあまり心の病に。
 突然、岡崎家を襲った怒涛の日々をエッセイ風につづった介護体験記である。
 漫画家の松本ぷりっつが、ユーモラスなイラストおよび漫画で様々なエピソードを描き添えていて、重くつらい介護の日々が、面白おかしく描かれ、タイトル通り、「大変なことでも明るさを失わず、笑える部分を見つけ出して乗り越えようよ。」という著者の姿勢が伝わってくる。

 介護素人の人間が、いかにして介護と出会い、一人で背負うことの限界を知るか。
 いかにして介護保険と出会い、ケアマネージャーやヘルパーなどの介護職やショートステイなどの介護施設を利用することを知るか。
 いかにして周囲の人間に助けられながら、家族で支えあっていく力をつけていくか。
 認知症の人と生活するとはどういうことか。
 介護する人間はどんな心境に立たされるか。
 介護をめぐるもろもろのことについて、楽しく読みながら理解することができる、介護入門本としてもお薦めできる。

 母親の逞しきオバタリアン(古い!)パワーと、父親の認知症ならではの数々の「笑える」エピソードに引っ張られて、あっという間に読み終えた。