ゴールデンウィーク後の人の少ない静かな森を、風に吹かれて歩きたい。
前回青梅丘陵を歩いたとき駅の観光案内所でもらった地図で知ったのが、霞丘陵ハイキングコース。
ゴールが温泉郷というのが歩行意欲をそそる。
●歩いた日 5月8日(木)
●天気 晴れ
●行程11:00 JR青梅線東青梅駅
歩行スタート
11:40 塩船観音寺
13:15 七国峠
14:15 岩蔵温泉郷
歩行終了
昼食
15:03 都営バス乗車
15:30 河辺駅着
●所要時間 3時間15分(歩行2時間45分、休憩30分)
●歩行数 11500歩
このコースは途中に塩船観音寺がある。
東青梅駅で降りたとき、複数の中高年グループが駅員に「観音寺はどちらですか」と尋ねるのを聞いて、「へえ~、結構人気のあるお寺なんだなあ」と意外に思った。「パワースポットか?」
道標に沿って進むと、光明寺という曹洞宗の寺に当たる。別にどうってことのない普通の禅寺だが、門前にあった掲示板の文句が気に入った。


塩船観音寺の歴史は古い。
大化の改新の頃に若狭国の八百比丘尼が開いたという。本当だとすれば1370年も前になる。
八百比丘尼と言えば、人魚の肉を食べて800年の寿命を得た女性である。尼となって全国を旅したというが、いくつの時に青梅に来たのだろう? 古来人々の求めた不老長寿であるが、彼女にとっては苦痛でしかなかったそうだ。さもありなん。
実際には、ここは真言宗のお寺なのだから、空海(774-835)より前の開基のはずがない。
こんなアクセスの良くない田舎なのに、なぜか参拝客で賑わっている。遠足の幼稚園児も列を成している。
なぜ?
境内は思いのほか広くて、お堂がいくつも建っている。
薬師堂の本尊はもちろん薬師如来。等身大の立像で、なんと一木作り。寺の中で、この像が最も古いと推定されているらしい。木肌の感じからして確かに古い。理由はわからないが、この像は「ぼけ封じ」のご利益があるそうだ。前期高齢者(65~75歳)とおぼしき人々が次々とお参りしていた。もちろん、自分も・・・。


十一面千手観世音が安置されている本堂で手をあわせ、左手に数歩踏み出したところで、「おおっ!」と思わず声が出た。
半すり鉢状の斜面が、色とりどりのもこもこしたツツジで埋め尽くされて、まるで押絵のよう。壮観である。
なるほど、これが目当てだったのか。
(帰りに気づいたが、青梅線の各駅構内には「塩船観音つつじ祭り」のポスターが貼ってあった・・・)
つつじの山のてっぺんには高さ15mの平和観音がお立ちあそばしている。



観音像の裏手から霞丘陵の尾根に入る。
さすがに人の姿は見えなくなった。

よく整備された広い道(途中から舗道)を気持ちよく進んでいくと、何かの大きな運動施設にぶつかる。正体不明のままなお進むと、幹線道路に面する入口(出口)に着いた。門柱の看板を見ると、

金、あるなあ~。
道路を渡って、山道に入る。
ここからが本領。
強い南風に騒ぐ木々、鳥の声、熱くもなく寒くもなく、なだらかな道の続く快適なウォーキング。途中で富士山が見えるポイントもある。(今日は見えず)

道の右側は杉林。
左側は広葉樹林。
植生の違いが面白い。むろん、杉は植林である。
岩蔵温泉に近づくにつれ、両者は混交し、森は深みを増す。
いい森だ。



岩蔵温泉郷は、4~5軒の旅館が並ぶ鄙びた里である。
青梅と飯能を結ぶ幹線道路が走っているので意外に交通量があり「静か」とは言いがたい。
もう少し情緒豊かな湯の里を想像していたのだが、思っていたのとはちょっと違った。
日帰り入浴できる宿(司翠館)もあったけれど、今回はパス。



バス停でバスを待っていたら、道の反対側を通り過ぎた小学生が「こんにちは~」と挨拶していった。
