1973年東宝。
文句なしに滅茶面白い。
雪の降る寒い晩に、母の命と引き換えに牢獄で生まれた娘。
その母は殺人犯にして男と見れば相手選ばぬ淫乱女。
故に父は知らず。
復讐の為にのみこの世に生み落とされた因果な娘。
その名は雪。
負×負×負× ・・・・・
舞台となるは文明開化華やかなりし明治の日本。
しかし、親の敵を探して雪のさすらう人生行路に見える景色は、血のにじむような修行の日々、強姦、売春、遊郭、博打、部落、血しぶき、魑魅魍魎の権力者、欺瞞と欲望の象徴たる鹿鳴館(もちろん仮面舞踏会あり)・・・。
負×負×負× ・・・・
日本的な「負」の追求の果てに咲いた一輪の花が、雪(=梶芽衣子)である。
このまさに劇画的に大仰な、メリハリのある、刺激的な舞台設定こそ、映画を輝かせる。
そう。テレビでは「負」は描けない。
もちろん、すべての「負」をひっくり返す雪の美貌があっての話である。(これで、雪がブスだったら救いようがないではないか)
主演の梶芽衣子の美しさ・かっこよさは言うまでもないが、敵役の一人・北浜おこのを憎憎しげに演じる中原早苗のえぐみ、若き宮沢りえを思い出させる若き中田喜子(『渡る世間』の文子)の可憐さも、インパクト大。
大映テレビドラマにも似た過剰な演出の中に、藤田監督の美学が散りばめられていて、圧倒的な「負の豊饒性」に酔いしれること間違いなし。
評価:A-
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
ヒッチコックの作品たち
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
チャップリンの作品たち
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!