製作年 2015年
製作国 日本・フランス・ドイツ合作
配給 エレファントハウス
監督 河瀬直美
原作 ドリアン助川
脚本 河瀬直美
キャスト
  • 樹木希林(徳江)
  • 永瀬正敏(千太郎)
  • 内田伽羅(ワカナ)
  • 市原悦子(佳子)
  • 浅田美代子(千太郎の店のオーナー)
視聴日 2015年12月31日

 昨秋多磨全生園を散策したときからこの映画を見ることは運命づけられていた(大げさ)。
 主人公徳江がその生涯のほとんどを暮らしてきた国立ハンセン病療養所多磨全生園が映画の最後のほうで出てくる。散策のときに歩いた道、眺めた木々や建物、買い物したショップ、昼食を食べたお店が映し出され、親近感を持った。実際、自分が見た風景がほとんど変わらない空気感と雰囲気(印象)で撮影されているのが不思議な気がした。

 樹木希林の上手さは言を重ねるまでもない。メリル・ストリープ同様、上手すぎて鼻につくのが欠点と思っていたのだが、この映画に限っては全体に漂白されたような‘はかなさ’を帯びて、名演というよりも好演(好ましい演技)というにふさわしい。目の中に入れても痛くない可愛い孫娘(内田伽羅)との共演の影響だろうか。
 その内田伽羅が素晴らしい。父親のモックン(本木雅弘)から譲り受けた涼しげで切れ長の目が魅力的である。『キューポラのある街』の吉永小百合を彷彿させる頑固な美少女ぶり。これからが楽しみな女優である。
 永瀬正敏、市原悦子、浅田美代子もそれぞれにイイ味を出している。これだけの役者を集めて、これだけの演技を引き出す川瀬監督が「なにか持っている(←古い)」のは間違いなかろう。

 この映画のロケは東京都東村山市で行われた。
 なので市民の名誉のために一言。
 ハンセン病患者であったことが周囲に知られて、徳子の働くどら焼き屋は閑古鳥が鳴くようになる。ハンセン病患者への偏見と差別を語るエピソードである。
 だが、東村山市民ならそんなことあり得ないと思う。少なくとも現代では。
 そんなことがあった日には志村けんが許すまい。 
 
 
 
評価:B-
 
A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!