ソルティはかた、かく語りき

首都圏に住まうオス猫ブロガー。 還暦まで生きて、もはやバケ猫化している。 本を読み、映画を観て、音楽を聴いて、寺社仏閣に詣で、 旅に出て、山に登って、瞑想して、デモに行って、 無いアタマでものを考えて・・・・ そんな平凡な日常の記録である。

秩父

● 秩父34ヵ所札所めぐり 第1日(1番から11番)

 薫風に誘われ、秩父34ヵ所の札所巡りを開始した。
 約100キロを徒歩でたどる。
 ガイドブックによると、歩くと6日から8日かかるらしいが、現地での一泊を入れて5日間の予定を立てた。無謀か?

1日目(日帰り) 秩父鉄道和銅黒谷駅~1番四萬部寺・・・11番常楽寺~西武秩父駅(約22キロ)
2日目(日帰り) 西武秩父駅~12番野坂寺・・・25番久昌寺~秩父鉄道影森駅(約24キロ)
3日目(日帰り) 秩父鉄道影森駅~26番円融寺・・・30番法雲寺~秩父鉄道三峰口駅(約14キロ)
4日目(宿泊)  秩父鉄道三峰口駅~31番観音院~宿(小鹿野町)(約22キロ)
5日目(満願日) 宿~32番法性寺・・・34番水潜寺(約18キロ)


 100を5で割れば一日20キロずつの勘定になるが、札所の配置や札所間の距離、最寄り駅との関係を考慮すると、単純に均等配分できない。日帰りとは言え、すべての札所間を抜けなく歩き通したいので、前の回に歩き終わった地点から次の回は歩き始める。となると、鉄道駅から始めて鉄道駅で終わるのが基本となる。
 1番から29番までは各札所間の歩行時間はすべて1時間未満(最短10分から最長50分)にすぎない。が、29番からいきなり間隔があき、最短2時間から最長5時間の長丁場になる。4日目と5日目が正念場ということになろう。
 むろん、日本の寺社巡礼のメッカである四国を制した人にしてみれば、5時間の歩行など「鼻先でフン」ってところだろう。高知では札所間3日ってところがあるようだから。

 秩父札所めぐりに関しては「秩父札所連合会」「秩父札所観音霊場パワースポットを巡る」のホームページが詳しくて役に立つ。

秩父巡礼図
秩父札所連合会作成のマップ


秩父巡礼1日目 031
ちちぶテクテク坊や(ソルティ命名)


●挙行日  2018年4月22日(日)
●天気   晴れ(最高気温28度)
●行程
07:50  秩父鉄道・和銅黒谷駅出発
08:30  第1番・四萬部寺
        お仕度
09:00  同寺発
09:40  第2番・真福寺
10:20  光明寺(第2番納経所)
10:45  第3番・常泉寺
11:10  第4番・金昌寺
12:00  第5番・語歌堂
12:10  長興寺(第5番納経所)
13:10  第7番・法長寺
        昼食休憩
13:50  同寺発
14:10  第6番・卜雲寺
14:45  第8番・西善寺
15:25  第9番・明智寺
16:10  第10番・大慈寺
16:30  第11番・常楽寺
17:10  西武鉄道・西武秩父駅着
●所要時間  9時間20分(歩行時間6時間+休憩時間3時間20分)
       ・・・休憩時間には昼食休憩および各寺での滞在時間(10~30分)を含む
●歩行距離  約22キロ(毎時3.7キロ)


 天気は上々。気持ちの良い出立である。

秩父巡礼1日目 001


 秩父巡礼1日目 002
秩父鉄道和銅黒谷駅
日本最初の流通貨幣「和銅開珎」で有名


 第1番へはいきなりバスで門前に乗りつける無粋な手段はとらず、最寄りの秩父鉄道和銅黒谷駅から江戸古来の巡礼路をたどる。
 国道140号に立てられた看板を目にすると、いやがおうでも気分が高まっていく。


秩父巡礼1日目 003

 
 約40分で第1番四萬部寺(しまぶじ)にぶじ到着。

秩父巡礼1日目 004


 まずは観音堂にお参り。 
 四国遍路同様、通常は般若心経を唱えるらしいのだが、テーラワーダ仏教を学んでいるソルティは、以下の読経をパーリ語で誦することにした。
① 礼拝
② 三帰依
③ 懺悔誓願の文(日本語)
諸仏の教え
慈悲の瞑想(日本語) 

 読経を終えたあとに納経所で御朱印をいただく。参詣した証である。

御朱印


 第1番にはいろいろな巡礼用品が揃っている。白衣、菅笠、金剛杖、数珠、日本手拭い、おいずる・・・。御朱印帳は必須アイテムであるが、それ以外は特に身につけなければならないものではない。普段着で全然かまわない。
 ソルティは巡礼気分を楽しみたいのと、巡礼者であることが一目で分かったほうが土地の人や巡礼仲間との会話のきっかけになるだろうと思って、それなりの支度を整えた。
● 白衣のかわりの白ツナギ・・・綿100をネットで購入
● 輪袈裟(わげさ)・・・首にかけて簡易の袈裟とする
● 竹笠・・・菅笠より安い、が重い
● 数珠 

 結構カタチから入るほうです、ワタシ(笑)

巡礼三点セット
竹笠、輪袈裟、御朱印帳の3点セット(計4千円)


 さすがに休日の第1番だけあって次から次へと参詣者が訪れる。高齢社会のあおりもあって寺社巡礼が昨今盛んなのだろう。このさき同行者には事欠かないなと思っていたら、第2番へ行く途上に誰も見当たらず。高齢社会のあおりもあって、みな車移動なのであった。


秩父巡礼1日目 005
巡礼路を示す標識
これにずいぶん助けられる


 第2番真福寺は山の中にある。第1番からはゆるやかな登りが続く。杉木立の中を歩くので気持ちは良いけれど、なかなか息が切れる。「秩父を甘く見るなよ」という最初の洗礼のよう。
 樹々に囲まれた無人のお堂は涼やかな風が通り、清々する。ウグイスやコジュケイの鳴き声に耳を傾ければ、都心の喧騒や慌ただしさが悪夢のよう。

 来てよかった


秩父巡礼1日目 006
第2番納経所
ここで寺社名や日付を墨書し御朱印を押してもらう


 御朱印は山を下りたところにある別当寺でいただく。納経所の前で寺の子供たち(おそらく)が大きなプラスチックのたらいに放した2羽のアヒルと遊んでいた。懐かしい光景に思わず立ち止まる。近所の農家で飼っていたアヒルと遊んだ子供の頃を思い出した。


秩父巡礼1日目 007
道しるべ石
こんなのがあちこちにあって信仰の歴史を感じさせる


 第3番常泉寺はのどかな田園風景の中にある。
 
秩父巡礼1日目 008
第3番常泉寺

 札所の観音堂には寺の縁起を伝える大きな額絵のかかっているところが多い。極彩色の錦絵のようである。

秩父巡礼1日目 009
 第3番の額絵
曰く「本尊観世音像は行基の彫刻と伝えられ・・・」


秩父巡礼1日目 010
境内から見た景色


 1番から10番までは、横瀬川の両岸に点々と、川を遡るような配列で連なっている。行く先にデンと聳えるは秩父の名峰武甲山である。


秩父巡礼1日目 011
横瀬川にかかる橋


秩父巡礼1日目 015
陽炎のように霞む武甲山


 山門の両側に飾られた大きなわらじが特徴的な第4番金昌寺
 「参詣者の足腰がいつまでも丈夫なように」という願いを込めて土地の人たちが作っているそうだ。 
 わらじのほかにも、本尊の十一面観音立像、数千の素朴な石仏、和風ピエタ(by ミケランジェロ)とでも称したい子育て観音像が有名である。境内は昼食をとる団体客らで賑わっていた。



秩父巡礼1日目 012
第4番金昌寺


秩父巡礼1日目 013
子育て観音像


秩父巡礼1日目 014


 石仏に囲まれて昼食をとっている団体バスツアーの初老の男に声かけられた。

「全部歩いて回るんですか?」
「ええ」
「お経も上げるんですか?」
「ええ」
「そりゃあ、いいことだ。きっと良い功徳がありますよ」
「ありがとうございます」

 そう言って別れたが、すでに功徳は十分いただいていることにすぐ気づいた。
 こうやって自分の足で100キロ歩いて回れる環境にあるということが最大の功徳なのである。健康と、それなりの経済的および時間的余裕と、このようなことをしようと思い立つ(発心する)縁がなければ到底叶わない行為である。国土に平和と自由がなければできないことである。
 ソルティはそもそも特段願いごとがあって回っているのでも、懺悔のために回っているのでもない。なんとなく呼ばれた気がして始めたことであった。
 だが、「今ここにこうしてある」ことに感謝しながら回ることにしようと思った。



秩父巡礼1日目 017


 第5番語歌堂もまた無人である。風通しのいい広々した田園の中にあって小休止にあつらえ向き。ここは聖徳太子にまつわる伝承がある。


秩父巡礼1日目 016


 納経所は少し離れた長興寺にある。
 納経時間はどこも原則午前8時から午後5時まで、12時から12時半が昼休みになっている。
 12時過ぎに到着したので、境内の日陰に座って休息。ここまでの歩行で固くなった足をもみほぐす。後日の筋肉痛を防止するコツである。

 ここで順序を入れ替えて6番より先に7番に行く。道順だとそのほうがスムーズなのである。


秩父巡礼1日目 018
まさに「武甲山ストリート」

秩父巡礼1日目 019


秩父巡礼1日目 020


 徐々に迫ってくる武甲山。石灰石の発掘で無残な山肌をさらしているが、ピラミダルな山容はあくまでも雄々しい。
 左手には横瀬川の源流のある二子山もくっきりと望める。このあたりは歩いてとても気分がいい。


秩父巡礼1日目 021
カワセミが教える道順

 
 第7番法長寺の本堂(牛伏堂)は34ヵ所随一の大きさで、平賀源内の原図を基に設計したと言われている。源内先生のマルチな才能に脱帽。そういえば、ほんのちょっと前に台東区橋場にある平賀源内の墓を詣でたところであった。やっぱり呼ばれたのかな。


秩父巡礼1日目 022
第7番法長寺


秩父巡礼1日目 023
名前のとおり牛が伏せている


PB040315
台東区橋場にある墓所

PB040313
背後にあるのは源内に仕えた従僕福助(おそらくは恋男)の墓


 境内は広々して、眺めも良く、居心地よい。
 ここで昼食にする。

秩父巡礼1日目 024



 第6番卜雲寺に向かう途中で、やっと二組の徒歩巡礼派に会った。おばさん二人組(60代?)と青年二人組(20代?)である。前者はふうふう言いながらチンタラ歩いていた。後者は颯爽とサクサク歩いていた。ソルティは、おばさん組を追い越して、青年組に追い抜かれた。
 言うまでもなく、巡礼は速さや歩行距離を競うものではない。道中を楽しむことが一番である。景色や花や鳥の鳴き声や人々との出会い、土地の伝承や信仰や名物を味わうのが大切である。そして、長い一本道をとぼとぼ歩きながら、自らの心を見つめるのも一人旅ならではの特権である。


秩父巡礼1日目 025
卜雲寺の額絵


秩父巡礼1日目 026
高く泳ぐや こいのぼり


 西武鉄道のガードをくぐって、いよいよ武甲山が近づく。
 奥多摩・奥武蔵の有名どころの山はほとんど踏破したソルティだが、武甲山は未踏。無事満願したあかつきに登ることにしよう。


秩父巡礼1日目 028


秩父巡礼1日目 027


秩父巡礼1日目 029
武甲山御嶽神社(里宮)


 第8番西善寺は臨済宗のお寺らしい静謐な落ち着きに包まれていた。なにより目を惹くのは境内にそびえるコミネモミジの巨木。幹周り2.9メートル、樹高9メートル、樹齢600年の長老である。秋にはすばらしい紅葉が見られることだろう。

秩父巡礼1日目 034



秩父巡礼1日目 032



秩父巡礼1日目 033


 さすがに足が疲れてきた。明日の仕事に障るのではないかと気になりつつも前に進むしかない。なんだか次の札所に引っ張られるように足が運ばれる。


秩父巡礼1日目 035
9番へ向かう途上 
振り返れば西武鉄道の走る里山風景


秩父巡礼1日目 036

 
 第9番明智寺
の真ん前に三菱セメントの工場がある。秩父と言えばセメントだが、江戸時代の巡礼者には想像もつかなかった景色だろう。
 ここは安産子育ての観音として、各地から女性の参詣者が訪れるという。

 10番へは住宅地を抜けていく。道標やネギ畑や地蔵さんがローカルカラーを映し出す。



秩父巡礼1日目 037


秩父巡礼1日目 038


秩父巡礼1日目 039


 第10番大慈寺は最近つとに有名になった。
 秩父を舞台にした青春アニメ『心が叫びたがってるんだ。』の舞台となったからである。休日にはアニメファンが「聖地巡礼」にやって来るらしく、境内に置かれた大学ノートには訪れたファンらの青いメッセージがあふれていた。なるほど、参詣を終えて山門を出ると、寺社詣でにはフィットしない風情の青年らが門前でカメラを構えていた。


秩父巡礼1日目 041


秩父巡礼1日目 040



 本日最後の第11番常楽寺
 16時半到着。日もすっかり傾いている。
 団体客が参拝をすましたばかりで、納経所ではツアーガイドらしい女性がまとめて何やら処理を頼んでいる様子。夕刻迫る賑やかな秩父市街を眺めながら、座ってしばらく順番を待つ。
 ここから見る夕焼けはさぞ美しいことだろう。


秩父巡礼1日目 043


秩父巡礼1日目 044


秩父巡礼1日目 045



 今回の行程は、出発点の和銅黒谷駅から第3番までは札所間それぞれ40分以上かかり山越えもあって長く感じた。「この調子でいくと今日中に11番までは無理かもしれない。9番まで行けば恩の字かな」と思った。
 が、3番からあとは寺社間が短く、平地であることもあって、「疲れた」と思う前に次の札所に到着している感じであった。
 特に時間に追われ速足で歩くこともなく、途中でダウンすることもなかった。

 巡礼姿であることも手伝ってか、すれ違う地元の人々から挨拶をもらった。子供から老人まで、それが当たり前のようであった。中には、「えっ!こんなヤンキーっぽい少年まで!」とビックリするようなときもあった。四国で聞くような「おせったい」はさすがになかったけれど、巡礼が地域に根付いている様子がうかがえた。


秩父巡礼1日目 042


 西武秩父駅は、駅に隣接していた食事処兼みやげ物売り場である仲見世通りを大々的に改装し、こじゃれたショッピングモールに、その並びに祭りの湯という温泉施設を昨年オープンした。そのせいか、これまで見たことのないほどの賑わいであった。GWはさぞかしすごいことだろう。
 祭りの湯デビューして初日の無事完遂を祝った。


秩父巡礼1日目 046




第2日につづく。
  
 

● 開ウン、開チン 蓑山(587m、埼玉県秩父)

●歩いた日  10月30日(水)
蓑山 014●天気    晴れのち曇り、夕方豪雨
●タイムスケジュール
10:05 西武秩父駅着
      慈眼寺
10:42 秩父鉄道・御花畑駅発
11:00 秩父鉄道・親鼻駅着
      歩行開始
      萬福寺
12:15 見晴らし園地
13:00 蓑山頂上
      昼食休憩
14:30 下山開始
15:10 和銅開珎遺跡
      聖神社
15:45 和銅黒谷駅着
      歩行終了
●所要時間 4時間45分(歩行3時間+休憩1時間45分)

 蓑山は「美の山」とも書き、春から秋にかけて、フクジュソウ、桜、つつじ、アジサイ、ユリ、紅葉と次々と目を楽しませてくれる景観が繰り広げられる。低山であるが独立峰なので、東西南北、素晴らしい展望がひらけている。足で稼いでナンボ(?)のハイカーとしては、山頂まで車で行けてしまうのがかなり興ざめなのであるが、日の短い季節に日帰りでゆっくり歩くには絶好の山と言える。
 
 西武秩父駅から秩父鉄道・御花畑駅までは歩いて5分。秩父仲見世通り(アーケード)の中を進む。
 列車待ちの間に御花畑駅そばにある慈眼寺を拝観する。
 ここは秩父34ヶ所観音霊場(札所)第十三番にあたる曹洞宗のお寺で、目のお寺として知られる。禅寺とは思えないような凝った派手な作りの立派な本堂に目を奪われる。本尊は行基作といわれる聖観世音。そのやさしい笑みに目でたさもひとしお。
 老眼に悩まされる昨今、「いつまでも眼が健やかでありますように」

蓑山 003


蓑山 002

 
 秋の野花に囲まれた秩父鉄道・親鼻駅から国道140号を渡って、萬福寺に入る。真言宗のお寺で境内には弘法大師の像がある。寺門の横に並ぶ六地蔵がなんとも和やかな風情。

蓑山 001


蓑山 005


蓑山 007


 お寺の先の小川を渡ったところが登山口。
 雑木林の山道は単調で、木の間から国道が見えることもあり、「山に来た~」という喜びはいま一つ。
 歩きながら、仕事のこと、人間関係のこと、いろいろ思いにふけってしまう。
 せっかく山に来てもこれでは意味がない。「木を見て森を見ず」どころか目の前の「木」すら見ていない。ただ自動的に足を運んでいるだけ。
 思考に支配されて周囲の自然が楽しめないのはもったいない。
 右足、左足、右足、左足・・・・・と歩く瞑想(ヴィパッサナー瞑想)を行い、心を思考から引き離す。

 そろそろ休憩が欲しくなった頃に見晴らし園地に到着。
 木のテーブルといす、山頂一帯に整備された美の山公園のマップが立っている。名前の通り、見晴らしも良い。

蓑山 009


 ここで、便意を催す。
 マップを見ても近くにトイレはない。
 山頂のトイレまで我慢できるか。
 それとも・・・・。
 
 人生で○回目の野グソをしてしまった
 大人になってからで思い出せるのは、
  1回目 秋吉台(山口県)の広大な秋の草原
  2回目 ポンペイ遺跡(ナポリ)の住居のトイレ
  3回目 三国山(東京都)
 そして、4回目、美の山公園を汚してしまった。
 山道から離れたところでやりましたので、ご寛恕のほど。
 しかし、立ちションもそうだが、自然の中での排泄行為はなんとも解放感がある。自分が大自然の循環の一部になったような気がする。単なる露出症?

 腹が落ち着いたところで出発。

 光あふれる気持ちのよい杉の道を抜けて、蓑山神社に着く。
 ご祭神は、大山祇神(おおやまつみのかみ)、大己貴神(おおむなちのかみ)、稚産霊神(わくむすびのかみ)。順に、山の神、農業の神、穀物の神として知られる。その昔、長雨続きで農作物に被害が出始めたときに、国司の秩父彦命がこの山に登り晴天祈願をしたところ雨が止んだ。その際に着ていた蓑を松の木にかけたのが「蓑山」という名前の由来になったと言う。農業、穀物の神が祀られていることと符合している。
 この神社の狛犬は、二体ともガリガリに痩せていて、犬というより狼のようである。


蓑山 010

蓑山 012


 ひと登りで山頂に着く。
 売店やインフォメーションセンターや時計台やNHK中継塔が立ちベンチが並ぶ山頂は、広々としてまさに公園。中継塔の奥の殺風景な空き地にピークを示す標示がある。ここにもベンチやテーブルがあるが、さすがにここで弁当を広げようとは思えない。

蓑山 020


蓑山 015


蓑山 016


 展望塔から観る四方の景色はさすがに見事。
 南に秩父盆地と荒川を抱く武甲山が雄雄しい。西に黒曜石のテーブルのような両神山。北は破風山、城峰山。東は高原牧場、大霧山を見渡す。

蓑山 019


蓑山 018


蓑山 004


 ベンチに座り東側の山々を見ながら昼食をとる。
 空はすっかり秋のものだが、紅葉には早い。花の盛りも終わった。
 山頂で見かけたのは10名そこら。装備を見るに、自分以外はほとんど車かバイクでやってきた人のようである。
 
 下山は黒谷方面へと降りる。
 山道を抜けたあたりで目に入る里山の風景は、日本の原風景とも言える懐かしさと安らぎを与えてくれる。自然と一体化した暮らしの中で、人々は自分たちを見守る山々(武甲山や両神山)を神のように思ったのであろう。その武甲山も今では石灰石の削り過ぎで目も当てられない醜悪な姿になってしまった。


蓑山 005


蓑山 030


 705年(飛鳥時代末期)、この黒谷の地から和銅(自然銅)が発見された。
 これを喜んだ元明天皇は年号を「和銅」と改め、日本最初の流通貨幣を鋳造する。
 和銅開珎(わどうかいちん)である。
 その後、都は奈良(平城京)に移り、律令制が整えられていく。
 銅の採掘された山のふもとに大きな和銅開珎の記念碑が建っている。脇を流れる清流が涼やかである。

蓑山 031


 銅の発見を祝して、守護神として金山彦命(かなやまひこのみこと)を祀ったのが聖神社である。この神は鉱山の神と言われている。秩父では江戸時代まで銅採掘、その後セメントが続いたのだから、この神はご利益大である。
「お金に縁がありますように」
 おみくじを引いたら「大吉」であった。


蓑山 036


 和銅黒谷駅は昔の寺小屋のような味のある外観。
 西武秩父駅まで戻って、仲見世通りで天ぷら蕎麦を食べていたら、一転空はかき曇り、どしゃぶりとなった。

蓑山 039


蓑山 042


蓑山 041



記事検索
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ別アーカイブ
最新コメント
ソルティはかたへのメッセージ

ブログ管理者に非公開のメッセージが届きます。ブログへの掲載はいたしません。★★★

名前
メール
本文