ソルティはかた、かく語りき

首都圏に住まうオス猫ブロガー。 還暦まで生きて、もはやバケ猫化している。 本を読み、映画を観て、音楽を聴いて、神社仏閣に詣で、 旅に出て、山に登って、瞑想して、デモに行って、 無いアタマでものを考えて・・・・ そんな平凡な日常の記録である。

評価C+

● もっと光を! 映画:『ルーム205』(ライナー・マッター監督)

 2011年ドイツ映画。

 親元を離れ大学の寮に入ったカトリン(ジェニファー・ウルリッヒ)。新たな出会いと経験が待つ自由な生活に期待をこめて205号室のドアを開く。
 しかし、そこに待っていたのは行方不明となった前の入居者アニカをめぐる忌まわしい秘密と恐怖の心霊体験であった。

・・・・・という話。
それ以上でもそれ以下でもない。
オカルトホラーミステリーとしてはよく出来ている。
CGに頼りすぎずに恐怖を描いているところも好感(?)持てる。
 ドイツの大学生たちの雰囲気や寮生活というものを窺う面白さも味わえる。やはり、日本ともアメリカとも違う。
 全体に暗い画面なのだが、これこそドイツの光なのだろう。
 昔早春のイタリアを旅したときに、ドイツから来た多くの観光客がローマやベニスやミラノのあちこちのピアッツァ(広場)に長い足を投げ出して寝そべって、日光浴していたのを思い出す。
「もっと光を!」(byゲーテ)か。



評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」 

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!


● 映画:『ビジター』(トッド・レヴィン監督)

 2012年アメリカ映画。

 原題はSTATIC。
 そのタイトルどおり、美しくSTATIC(静的な)映像と共にゆっくりと描き出されるのは、トラウマを抱えた夫婦の姿。数年前、家の近くの沼に落ちて亡くなった一人息子の死を受け止められない作家とその美しき妻。
「あれ?これはトラウマ家族の再生ドラマだったのか」と、一瞬肩透かしを食らうが、ドアをノックする真夜中のビジター(訪問者)の登場と共に、雰囲気は一転してミステリー&ホラー色を強める。
 国家やCIAやマフィアが絡む陰謀ものなのか?
 宇宙人の侵略ものなのか?(SF)
 猟奇殺人をめぐるクライムサスペンスなのか?
 一人息子の死には何か大きな謎が隠されているのか?
 先の見えない展開にグイグイと引き込まれる。


 が、自分は途中でトリックがわかってしまった。
 『シックスセンス』(ブルース・ウィリス)や『アザーズ』(ニコール・キッドマン)や『パッセンジャー』(アン・ハサウェイ)を通過した目には、もはやこの結末は意外ではない。一人称もののミステリーを読むときに、『アクロイド殺し』(byアガサ・クリスティ)のトリックの可能性を頭に入れながら読み進めるクセがついてしまったように。
 やっぱり先鞭をつけてこその大トリックである。

 囚われた(STATIC)時間や場所から解放されるには、感情を吐き出し、自分も他人も受け入れ、許し、手放すことが必要なのである。生者も死者も。




評価:C+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」    

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

 
 

● 本当に怖いもの 映画:『ディスコード』(ニコラス・マッカーシー監督)

 2012年イギリス映画。

 原題はTHE PACT
 「約束」の意だが、誰とのどういう‘約束’なのかが良く分からない。
 代わりにつけられた「ディスコード DISCRD」は、「不調和、不協和音」という意味。こちらのほうが内容的にはふさわしい。けれど、ディスコードの意味が理解できる日本人はそう多くないだろう。なんのためにタイトルを変えたのか意味不明である。
 自分だったら内容に即して『ジュダス――悪魔の棲む家』とでも訳すだろう。


 この映画を観て子供のころの祖母との会話を思い出した。
 小学5年生当時、自分にとって一番怖いものは幽霊、とくに悪霊であった。
 そういった超自然的なものに興味を持つ年頃ではあるが、かててくわえてこの時、日本はある一本のアメリカ映画の登場に話題沸騰していた。テレビをつけても、雑誌を開いても、この映画の怖さや不気味さが喧伝されていた。悪霊に取り憑かれた主役の少女のグロテスクな顔が自分の読んでいた少年漫画雑誌の表紙を飾っていて、一度見たら忘れられない、寝るときにはその雑誌を目の届かないところに遠ざけておいたほどの、衝撃と恐怖をもたらした。
 言うまでもない。70年代オカルトホラーブームの端緒を開いた『エクソシスト』(ウィリアム・フリードキン監督、1973)である。
 怖くて仕方ないけれども怖いもの見たさもある。くだんの漫画雑誌をおそるおそる開くと、こんなことが書いてある。
「悪霊はとりわけ美しい少年少女に取り憑くのを好む」
 背筋がゾっとなったものである。

 で、ある日祖母と家の近くの公園を散歩していて、幽霊に対する恐怖心を縷々と語ったのである。
 自分はたずねた。
「おばあちゃんも幽霊怖い?」
 すると、祖母はこう答えた。
「この歳になるとね、幽霊なんか全然怖くないよ。やっぱり、一番怖いのは人間だね」
と、周囲の木々を指さして、「こうした森の中を歩いていて、木の陰から突然包丁を持った男が飛び出してくるのがよっぽど怖いよ」
「ふ~ん」

 祖母の歳まで生きたら(といっても60歳に届いていなかったはずだ)、自分も同じように思うのだろうか、などと考えたのであった。


 もちろん、祖母は正しかった。
 人間の悪意や嫉妬、狡猾さや狂気にくらべたら、どんな悪霊の脅しも天使のウンコみたいなものである。
 『エクソシスト』をマジで怖がっていられた子供の頃の自分は、性善説を信じられるくらい幸せだったのだろう。
(しかしトラウマは健在だ。いまだにグリーン豆のスープを若干の不快さなしに飲むことができない。)



 
評価:C+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」 

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!


● 老いvsゾンビ 映画:『ロンドンゾンビ紀行』(マティアス・ハーネー監督)

ロンドンゾンビ紀行 2012年イギリス映画。

 見るからにB級臭がぷんぷん匂ってくるパッケージデザインとタイトル。
 ありとあらゆるバリエーションを極めたゾンビ映画にまだ新基軸が残っているのか。

 原題はCockneys vs Zombies
 Cockneysは、イーストエンドに住む生粋のロンドンっ子。労働者階級の多い、いわゆる下町。オードリー・ヘプバーンが演じたミュージカル『マイ・フェア・レディ』のイライザの出身地区である。
 その意味で、英語が理解できたらもっと面白いだろうに・・・と残念に思わざるをえない。おそらく下町訛り炸裂のはずだから。
 Cockneys(下町っ子)の度胸と根性を見せてやるぜ。ゾンビ、この野郎、なめんじゃねえぞ!
 というのがテーマなのだが、新基軸は今回ゾンビと死闘(?)を繰り広げるのが老人ホームの老人たちであるというところ。言ってみれば「死に損ない同士の」闘いである。
 これが笑える。
 あの独特の歩き方と速度で追っかけてくるゾンビから、必死で逃げるのは歩行器を操る足の悪い老人。捕まりそうで捕まらないところがスリリング、というか滑稽である。幾分健常な仲間の老人は、武器ならぬ車椅子を手に救出を図る。
 死が迫っている老人たちでもやはりゾンビになりたくないのか。
 いや、ゾンビになればもはや死ぬことはないのではないか。
 ゾンビになったら、車椅子の老人も歩けるようになるのか。
 ・・・・・
 いろいろな疑問が生じつつ、ブラックジョークと言えるほどの皮肉や意地悪さは感じさせない、底の浅いナンセンスな展開にB級の心意気を感じる。

 主役の兄弟の弟のほうを演じるハリー・トレッダウェイがキュートで赤丸急上昇!




評価:C+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」       

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

● 壊れゆくバチカン2 映画:『ローマ法王の休日』(ナンニ・モレッティ監督)

 2011年、イタリア映画。

 タイトルと、「コメディ」というジャンル表示と、DVDパッケージのあらすじとから自分が思い描いていたストーリーは↓


心ならずもコンクラーヴェで法王に選出されてしまったメルヴィル枢機卿(ミシェル・ピッコリ)は、巨大なプレッシャーに耐えきれずバチカンからローマの街に逃げ出してしまう。
 そこで出会った市井の人々との交流の数々。民衆の悩みや喜びや苦しみや素朴な信仰心に触れるなかで自らの信仰のきっかけを思い出し、使命を自覚し、バチカンに帰還。晴れて法王の座に着く。

 途中までは確かにこの通り進むのだが、最後の最後に裏切られた。
 メルヴィルはバチカンに帰還する。が、サン・ピエトロ広場に集まった大観衆の前で、いやメディアを通じ一連の騒動に注目していた世界じゅうの人々の前で、法王になることを拒絶するのである。
 メルヴィルは言う。
「神が間違うわけがない」
「私が神によって選ばれたのも間違いない」
 ならば、結論はどうしたってこうなるはずだ。
「私が法王になるのは正しい」
 で、ありながら、メルヴィルは睨座を拒否するのである。 
 これは究極の謙虚なのか。自己卑下なのか。
 メルヴィルの真意はよく分からない。監督の意図はよく分からない。
 けれど、「えっ?」と驚く結末であった。
 この意外性は、しかし、予想していた展開が見事に裏切られたことからくる「痛快さ」「一本とられた!」にはつながらない。すっきりはしないのである。コメディと思って観ていたものが、最後の最後で何だか哲学的様相を帯びて、戸惑うのである。
 メルヴィルの爆弾宣言でバチカンは揺れる。帰還に安堵していた枢機卿たちはショックで顔を引きつらせる。
 それでジ・エンド。
 なんだろうな、この結末は?


 『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督なら、おそらく最初に自分が掲げた予想通りの物語を、笑いと涙とスピリチュアル的感動とで十全に描き出すであろう。実はそれを期待していた。たまにはそんなベタな物語に酔いたいという気持ちもあってレンタルしたのである。

 ナンニ・モレッティ監督は食わせ者だ。

 メルヴィルは法王の座を拒否し、世界の期待を裏切って、カトリックの長としての役割を放棄した。
 それは法王としてはもちろん失格以前の話である。
 しかし、逆説的だが、型どおりの「物語」を崩壊させてはじめて、バチカンを「外に向かって開いた」と言えるのかもしれない。
 メルヴィルの行為は、世界中に議論を巻き起こし、キリスト者をはじめ宗教を信じる者たちに問いを突きつけることになるだろう。
「信仰とは何か?」
「バチカンや法王の存在意義は?」
「コンクラーヴェの意義は?」
 そして、前法王の崩御が自動的に新法王の選出&誕生をもたらすという伝統に、あたかもそれが一大エンターテインメントであるかのごとく慣れきってしまい(だれが法王になるかの賭のオッズまで新聞に掲載される)、思考停止に陥っている大衆の無知蒙昧ぶり。
 その意味で、メルヴィルは、法王になることでよりも、法王になることを拒否したことで、結果的にはより「信仰」「伝統」という問題について人々が自らを省みるきっかけを作ったと言えるかもしれない。
 それも神の意図か?



評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!



● 壊れゆくバチカン1 映画:『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』(アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ監督)

 2011年イタリア映画。

 ブログを書いていると、因縁の仕組みを感じる。

 このブログで取り上げる映画はそのときそのときの自分の感覚でチョイスしたもので、偶然TUTAYAの棚で見かけて「面白そう」と思って手に取ったものである。「どういうテーマの映画を観よう」とか「次はこの監督(俳優)の作品を観よう」という意図はほとんどの場合働いていない。映画の内容についても、借りる前にそれほど詳しくチェックしているわけではない。せいぜい簡単なあらすじくらい。見終わったあとで評価を下したら、自分の中では「完了」である。
 ブログで感想を書き始めてみて気づいたのは、自分では「面白そう」優先で行き当たりばったり選んでいるつもりの映画のリストを、あとから時系列で辿ってみると、作品から作品へ何らかの繋がり(関連)が連想ゲームのように浮かび上がって見えて来ることである。コメディ、シリアス、オカルト、SF、恋愛、文芸もの、伝記もの・・・。作品のジャンルや舞台背景、映画の制作年や制作国はさまざまなれど、一連の流れが存在するのだ。まるで、自分の意識(意図)とは別のところで無意識が働いて、それが勝手に棚の前に立つ自分の手を作品に導いているかのようである。
 と言って何も神秘化する必要はない。
 単に、自らの内面を流れる意識や思考や感情の流れ(連鎖反応)にきちんと気づけていないだけなのである。前の(過去の)選択結果が因となって、次の(未来の)選択を生む。自分で認識していないだけで、実はちゃんと因果は働いているのだ。
 より深いところで「自分」を動かしているもの、それが因縁である。

 アッシジの聖者『神の道化師フランチェスコ』を観たあとに、2本つづけて同じイタリア映画を借りてしまったのは、偶然でもシンクロニシティでもなく、どこかでイタリアに対する執着があるのだろう。その2本(SFとヒューマンコメディ)が、蓋を開けてみたら、どちらもはからずも「バチカン崩壊」に関わるテーマであったことも偶然ではあるまい。


 『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』は、一見月並みな映画である。
 地球(ローマ)に飛来し、家宅侵入で黒人女性に捕らえられ、当局から拷問まがいの尋問を受ける宇宙人。
 「地球に来た目的はなにか?」
 「お前が持ち歩いているこのへんてこな機械の使途はなにか?」
 宇宙人は答える。
 「地球人との交流、相互理解が目的です」
 「これは母船への連絡ツールです」
 まったく信用しない尋問官。
 激しさを増す拷問。
 その容赦無さに、宇宙人との通訳のために雇われた若き女性は、人道主義に訴える。
 だが、警備厳重な地下室で行われている長引く尋問は、宇宙人にとってはただの時間稼ぎに過ぎなかった。
 地上では宇宙人による空からの攻撃が開始される。
 壊れゆくバチカン。消えてゆくローマの街。

 それだけの話なのである。目新しい展開、意外な結末はここにはない。
 もっとストーリーの凝った、意表をつく展開はいくらでもあるだろう。地下室のセットも安っぽいし、当の宇宙人もその昔ウルトラマンに出てきたような前時代的風貌(=着ぐるみ)である。
 だが、この作品には目を離させない磁力がある。
 それを作っているのは、当の宇宙人が自らを「王(ワン)」と名乗り、中国語を流暢に喋る紳士キャラ、というところである。
 それによって、作品自体が、中国という欧米人から見たら得体の知れない国、今や経済戦争の頂点に立って世界を脅かす強大な国、欧米流のルールが通用しない唯物主義の国、に対する一種の風刺になっているのである。 
 一昔前であれば、この宇宙人は日本語を喋っていたであろう。

 宇宙人との通訳のために雇われた中国語通訳のイタリア女性は、破壊されていくバチカンのドームを窓越しに見つめながら、自らの人道主義の幼稚さを知る。
 だが自分を責めることはない。
 大宇宙を旅して地球に来ることができる時点で、その科学力はもはや地球人の比ではないのだから。闘うだけ無駄だ。



評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」
      
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

 

● 自立する幽霊 映画:『アウェイクニング』(ニック・マーフィー監督)

 2011年イギリス映画。

 舞台は森と湖に囲まれたイギリスの田舎。
 時はヴィクトリア朝の匂いが残る20世紀初頭。
 頬白き少年たちが共に学び生活する堅牢な寄宿舎。
 そして幽霊譚・・・。


 これだけ揃って食指が動かぬわけがない。
 幽霊譚にはやはりそれなりの雰囲気が必要である。
 現代の都会のオフィスで起こる霊的現象も怖いにゃ怖い。ショートする蛍光灯、勝手に起動したパソコン画面に打ち込まれるメッセージ、突如鳴り出す電話のベル、空中浮遊する書類や文具。数年前上司との不倫がもとでビルから飛び降りた女子社員の座っていた席のあたりに人影が・・・・。
 怖いっ。
 だが、雰囲気に欠ける。
 自分が幽霊譚に望むのは「美しさ」「哀しさ」「時を超える愛惜」なのである。
 おそらく、こうした好みを作っているのは十代の頃に読んだ萩尾望都の『ポーの一族』であろう。もっとも、こちらは幽霊ではなく吸血鬼(ヴァンパネラ)であるが・・・。

 Awakening とは「目覚め、覚醒」という意味である。
 何を目覚めさせるのか。
 それは記憶である。
 意味深なタイトルだ。

 映像は悪くない。物語のプロットも凝っている。演技も手堅い。
 ニコール・キッドマン主演の『アザーズ』やスペインで大ヒットしたオカルトミステリー『永遠の子供たち』を思わせる。とくに、子供たちの寄宿舎という設定、ヒロインの過去が重要な鍵となるところ、そして哀しい結末などは後者に似ている。
 自分が望む3点セットを見事に満たしているので及第点を上げたいのだが、二番煎じ三番煎じなのが減点となる。

 この映画は、一連の「音」から始まる。
 重いドアをバタンと閉める音、厚いカーテンをシャーッと閉める音、石造りの床を打つ靴音、ドアの鍵をカチリと閉める音・・・。
 これらの音の連鎖に耳を傾けているうちに、自分の記憶も甦ったのである。
 それは、はじめて映画館で洋画を見始めた頃の印象である。
 何が驚いたって、西洋の日常生活において生じる様々な「音」の切れ味鋭さにビックリしたのである。日本の(自分の)生活空間にはない音が存在し、それらはこちらの心臓が止まるくらいの音量と鋭さとで自己主張する。
 ドアが閉まる音や鍵を閉める音、靴音などは、もろ生活様式、建築様式の違いから来る。日本の家屋は靴を脱いで上がる。西洋式のドアはもちろんあるけれど、普通それほど重厚なものではない。ふすまや障子やスライド式の扉も多い。室内で大きな物音を立てること自体、日本では一般に良くないとされる。自分の受けた躾の中にも「もっと静かに戸を閉めなさい」というのがあった。
 それまでに家のテレビでも洋画を見ていたけれど、テレビの音声、お茶の間の音量であったし、日本語吹き替えでもあったので、それほど気にならなかった。映画館の大画面、大音量を経験して、まず衝撃を受けることになったのである。

 衝撃の理由は、自分の生活の中にない音を発見したとか、音自体の鋭さ・喧しさに驚いたというだけではない。その「音」が暗に意味する西洋文化における「遮断」「断絶」「孤立」の感覚に畏怖したのである。
 たとえば、重い鉄の扉をバタンと閉める音には、きっぱりとした他者の排斥が聞き取れる。自他のテリトリーの固持または主張が感じられる。すなわち、西洋文化の根幹をなす「個人主義」が潜在している。
 その音は日本人の自分にとって、周囲の他者からの断絶の恐怖であり、自立を強いる社会からの圧力のように響いたのである。
 ひるがえって西洋の子供たちは、物心ついてからずっとこうした音の中で生活しているのだ。「自立」をあたりまえとしていくのも当然であろう。


 個人主義の文化における幽霊の恐怖は、おそらく、命や財産を脅かされることよりも、「他」によって浸蝕される「自我」の恐怖なのではないか。幽霊を最終的には退治したのはいいが、主人公が精神病院に収容されてしまうシーンで幕を閉じる映画を結構たくさん観た気がする。
 それにくらべると、日本の伝統的な(?)幽霊が常に「うらめしや~」と恨みを訴えて出てくるのは実に分かりやすい怖さである。
 「自立」とは、自分の足で立って歩くことである。伝統的な日本の幽霊には足が無くて、西洋の幽霊にはしっかりと足がついているのも面白い符合である。



評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」      

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!


 
 

● ダニエル・シュミット追悼 映画:『拘禁 囚われし宿命の女』(エウヘニア・ミラ監督)

 2010年スペイン映画。

 ポーやディケンズを思わせるゴシックロマン。
 全編に溢れる映像美。

 というDVDパッケージの文句に惹かれてレンタルした。この種のくすぐりには弱い。
 観ると、なるほど嘘ではない。19世紀のヨーロッパの街並みや風俗が丁寧に再現されている。映像も凝っている。特にラストの教会の階段シーンの演出は、エイゼンシュタイン、黒澤明、ダニエル・シュミットなど巨匠の名前が次々と想起されるほど見事である。
 そうだ! これはダニエル・シュミット風の映画だ。幻想、耽美、ミステリアス、退廃、メロドラマ。シュミットよりは通俗的で饒舌であるが・・・。

 いまウィキで調べて知ったのだが、シュミットは2006年に亡くなったのだな。64歳とはまたずいぶん若い。
 久しぶりに『今宵かぎりは・・・』(1972年)が観たくなった。

 
評価:C+ 

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」     

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」
        

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

● 映画:『アナザーワールド VERBO』(エドュアルド・チャペロ・ジャクソン監督)

 2011年スペイン映画。

 ユニークなSFファンタジー。
 途中でアニメになったりして、押井守(『アヴァロン』他)の影響を感じる。
 VERBOとはスペイン語で「動詞」の意。字幕では「言霊」と訳されている。うまい訳だ。

 周囲の世界に馴染むことのできない15歳のサラは学校にも家にも居場所が無くて問題児扱い。救いを見いだすことができず、自殺を図る。
 この世とあの世の狭間の世界に落ちたサラは、そこでリリコ率いる5人の戦士と出会い、自分らしく生きるための試練に立ち向かうことになる。

 子どもにとっての「壁」とは、①親、②学校(先生)、③友達、なんだと思い出す。
 大人にとっての「壁」とは何だろう? ①親族、②職場、③世間、か?

 ありのままの自分であることが世間標準から逸脱してしまう者にとっては、それらは「壁」となって立ちはだかる。そうでない者にとっては「後ろ楯」となる。




評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」     

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

● 映画:『戦火の馬』(スティーブン・スピルバーグ監督)

 2011年アメリカ。

 物語前半のなんとも美しい田舎の風景シーン、てっきりCGだと思っていたのである。スピルバーグもついにここまで来たか・・・とちょっとがっかりしながら観ていた。
 見終わったあとに撮影の模様を紹介した付録映像を見ると、イギリスでの屋外ロケなのであった。


 CG技術の進歩の弊害の一つは、圧倒的に素晴らしい実写シーンですら、いや素晴らしければ素晴らしいほど、「どうせCGだろ」と思わせてしまうところにある。CGかそうでないかを見抜ける目があればいいのだろうが、もはやそれを観る者に期待するのは困難なレベルまでCG技術は達している。映画の始まりで「この映画はCGを使っていません」とでも但し書きしてもらえばいいのか。
 CGだろうが実写だろうが、素晴らしいシーンは「素晴らしい」と素直に楽しめばいいのだろうけれど、どうも「CG=人工=ニセ物=手抜き」「実写=自然=本物=手間がかかっている」という固定観念から抜けられないでいるものだから、「CGだろ」と思った瞬間、映画そのものの価値を低く見てしまうのである。


 実際「CGだろ」と勘違いするほど、美しすぎる映像、できすぎる映像が続く。
 飽きさせないストーリーテーリングもキャラクターの魅力も申し分ない。スピルバーグはやっぱりジョン・フォードの正統な後継者である。
 ある意味、この映画は、かつて映画に出演したすべての馬に対するオマージュなのだろう。フォードの馬、黒澤の馬、西部劇の馬、時代劇の馬、戦争映画の馬、牧場の馬、農耕馬、競走馬、少年少女の友としての馬・・・・。


 スピルバーグは偉大である。
 だが、大人の映画は撮れない。
 どんなに重く暗く深いテーマを扱おうが、どんなに映画の中で人が殺されようが、子供に安心して観せられる。子供が面白がって観ることができる。
 意図的なのか、そのようにしか撮れないのか。
 たぶん、後者だろう。
 スピルバーグは、マイケル・ジャクソン同様、ピーターパン(=永遠の子供)なのだと思う。
 彼の映画はもう一つのディズニー映画である。
 



評価:C+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」
   

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!


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