ソルティはかた、かく語りき

首都圏に住まうオス猫ブロガー。 還暦まで生きて、もはやバケ猫化している。 本を読み、映画を観て、音楽を聴いて、寺社仏閣に詣で、 旅に出て、山に登って、瞑想して、デモに行って、 無いアタマでものを考えて・・・・ そんな平凡な日常の記録である。

評価D+

● ギブ・アップ 映画:『不連続殺人事件』(曽根中生監督)

1977年ATG、タツミキカク製作。
  
 曽根中生(そねちゅうせい1937-2014)は、70年代に日活ロマンポルノの監督としてずいぶん気を吐いた人である。十代だったソルティは日活ロマンポルノの全盛期を知らないし、曽根監督の作品もおそらく見たことがない。どおくまん原作の『嗚呼!!花の応援団』(1976)が一番のヒット作らしいが、これも観ていない。
 神代辰巳、藤田敏八、村川透、根岸吉太郎、相米慎二、金子修介、田中登、小沼勝など、ロマンポルノ出身の映画監督には実に才能豊かなプロフェッショナルが多い。彼らは観る者に性的快楽以上に、映画的快楽を与えてくれる。むろん、体の芯まで到達し、間歇的にアクメ(絶頂)をもたらしながら、長く持続するオーガズムを約束するのは、映画的快楽である。
 曽根監督もそうしたテクニシャンの一人かもしれない。
 その上、原作は日本推理小説史上指折りの傑作と誉れ高い坂口安吾『不連続殺人事件』である。(ソルティは原作を読んだはずだが、まったく覚えていない)
 期待大で借りた。
 
 出だしはいい。夏純子の美しい裸身と憂いを含んだ表情にゾクッとする。
 画面の質感もいい。外を撮っても室内を撮っても、十分に‘映画的’な時間と空間がある。
 が、脚本が悪すぎる。
 原作どおりに、惨劇の舞台となる豪邸に一癖も二癖もある著名人や芸術家がたくさん集まるわけだが、人物整理がまったくできていない。誰が誰やら、誰と誰がどういう間柄なんだかよく分からないうちに、第一の殺人事件が起こる。誰が殺されたのかすら、よく分からない。
 と、なんの紹介もなく、どこからか刑事だか探偵だかよく分からない胡散臭い男が登場し、謎の解明に取り掛かる。
 ここまででギブアップ。始まって30分くらいか。
 これ以上見る気がしなかった。なにせ140分の長尺である。あと100分以上これが続くのかと思うと、さすがに時間がもったいなかった。
 
 なんで、こんな脚本にGOが出たんだろう?
 77年の日本映画界はまだまだ‘遊ぶ’だけの余裕があったということなのだろうか。 


評価:D+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!



 



 

● 第九の季節 映画:『バルトの楽園』(出目昌伸監督)

2006年東映。

 楽園(がくえん)と読む。音楽の「楽」なのだ。第一次世界大戦中、ベートーヴェン第九交響曲の日本初演(1918年6月1日)が行われた徳島県板東町(現・鳴門市)の板東俘虜収容所が舞台である。
 この島で捕虜として収容された総督(=ブルーノ・ガンツ)を長とするドイツ兵たちの2年ほどにわたる生活と、人道的待遇で俘虜たちに敬愛された収容所長の松江豊寿(=松平健)を描いている。
 第九演奏は、ドイツが正式に降伏し、捕虜たちが夢見た祖国への帰郷が決まり、収容所閉鎖が目前に迫った最後の演奏会として開催された。俘虜たちと仲良くなった島民を集めての演奏会の模様と第九の響きが映画のクライマックスを形作る。
 
 正直、第九に対する興味がなかったら、この映画を最後まで観ることは不可能だったろう。しょっぱなの青島での戦闘シーンのセットのあまりの薄っぺらさ、演出の拙劣ぶりにゲンナリし、見続けるのがつらかった。DVDの停止ボタンに指が伸びては、「まあ、第九初演の背景を知るだけでもいいか」と考え直して、忍耐しつつ見続けた。
 日本映画がこれほどの最底辺をなめたこともなかろう。映画館で見ていたら、スクリーンに向かって「金返せ」と叫びたくなるレベルである。
 これと比較すべき映画として、マイク・ミズノ監督『シベリア超特急』シリーズ、いわゆる「シベ超」がある。どちらも戦時中の実在の偉人――「シベ超」では日本陸軍大将・山下奉文→むろん演じるは水野晴郎――が主役であり、どちらも軍服姿の男が右往左往し、どちらもロケセットのハリボテっぽさが全編横溢している。そして、水野晴郎演じる山下泰文と、松平健演じる松江豊寿の似ていることよ。いろんな意味で似ている。
 しかし、「シベ超」はそのハリボテ加減が衝撃的で、ギャクの域にまで達していた。完璧なるB級(C級?)映画であり、逆に‘突っ込みどころ満載’という快楽を観る者に提供してくれる。これはこれで良い。その証拠に「シベ超」にはマニアックなファンが今もついている。
 『バルトの楽園』が許せないのは、ヒューマンドラマを描いたA級映画といった、もっともらしい顔をしているからである。そこに世界の名優ブルーノ・ガンツ出演で箔をつけようとし、クライマックスに第九を持って来るのだから始末が悪い。軍隊と音楽というからみで、おそらくは市川崑監督の『ビルマの竪琴』(1956年、1985年)を意識したシーンがある。ソルティは映画作家としての市川崑はあまり高く評価していないが、それでもなお、市川崑作品とこの映画を同じ日本映画として語ってしまうことに多大な抵抗を感じざるを得ない。
 観客もなめられたものである。
 日本映画もなめられたものである。
 
 唯一の救いどころは、松平健のはまりぶり。「暴れん坊将軍」でも「マツケンサンバ」でも「王様と私」でも「NHK大河ドラマ」でもなく、この映画の松江豊寿ほど、松平健が気持ちよさそうに自然体で演じているのは観たことがない。「やっと、やりたい役にめぐり合った」と言っているかのようなご満悦ぶり。そこが『シベ超」の水野晴郎と重なるのかもしれない。
 バルト(髭)がよほど気に入ったのだろうか。



評価:D+

 
A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!





● 映画:『バーチャリティ12』(ピーター・バーグ監督)

2009年アメリカ映画

近未来SF(スペースシップ物)+バーチャルリアリティ(仮想現実)=駄作
これ観るのに費やした87分がもったいない。
瞑想してれば良かった。
そのほうが「現実」が「仮想」だと体験できたのに・・・。



評価:D+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」      

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」          
        「ボーイズ・ドント・クライ」
           
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

 

● 映画:『プロメテウス』(リドリー・スコット監督)

 2012年アメリカ映画。

 人類の起源の謎に迫る、という煽り文句に惹かれ結構楽しみに観始めたのであるが、凡庸な結末でがっかりであった。これなら『フォース・カインド』(オラントゥンデ・オスサンミ監督、2009年)のほうが気が利いている。

 人類がある目的のために「何者か」によって創られた、というテーマを題材とする作品に惹かれるのはなんでだろう?
 人類の存在理由、換言すれば「生きる意味」について思考することの意味(の無さ)を自分に悟らせるからだろうか。
 だから、崇高にして遠大な目的で人類が創られたとするストーリー(たとえば、宇宙が自分自身を見るために惑星と生物の進化の果てに人間を創造した)なんかより、人間の発する気を食料とする宇宙人がいて人間牧場として地球は存在している、というブラックジョーク的なストーリーのほうが自分は好きである。変に自分たち人類のみを高等生物として持ち上げるスピリチュアル的傲慢さに一矢報いたいという偏屈なところがある。
 実際、人間は地球の主役でも勝者でもない。ごきぶりや細菌の方が長く広く地上に存在しているし、仮に人類を現在の地上の支配者と考えたとしても、生存年数で言えばかつての王者である恐竜の百分の一にも達していない。今、地球が滅びたとしたら、どこかの惑星の宇宙史研究家はこう記すだろう。
 「この地球という惑星でもっとも勢力を奮った生物はウイルスと恐竜であった」
 
 読んだばかりの『銀河ヒッチハイクガイド』も実は隠れたテーマとして地球創造の謎を扱っている。この謎の答えはあっと驚くような奇抜なもので、著者のセンスの高さは尋常でない。この本では地上の真の支配者も登場するが、その正体もあっけに取られる。天才性では、リドリー・スコットはダグラス・アダムズの足元に及ばない。
 

 映画自体は凡庸でつまらないが、ロボット役のマイケル・ファスベンダーは見物である。『SHAME シェイム』を観たときは感じなかったが、この人、イアン・マクレガーに似ている。ともに巧い役者である。

 最後まで観ると、これは人類の起源の謎というよりも「エイリアン」の誕生秘話だったのだということが分かる。



評価:D+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」      

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!



 

● 映画:『ミケランジェロの暗号』(ヴォルフガング・ムルンベルガー監督)

 2011年オーストリア映画。

 原題はMein bester Feind「我が最良の敵」
 『ダ・ヴィンチ・コード』の向こうを張って二匹目三匹めのドジョウ狙いの邦題である。
 ミケランジェロが描いたモーゼの素描(400年前にバチカンから盗まれたという設定)を巡って、ナチスドイツと決死の駆け引きをするユダヤ人画商の息子を主役とした娯楽サスペンス。――という説明が過不足なく言い切っている。


 この物語には三つのストーリが絡んでいる。
 一つ目は、くだんの幻の絵画の在り処を探すミステリーであり、その熾烈な争奪戦。最も『ダ・ヴィンチ・コード』に近い部分である。
 二つ目は、裕福なユダヤ人画商の息子ヴィクトル(モーリッツ・ブライプトロイ)と、一家の使用人の息子でヴィクトルとは25年間共に暮らしてきたドイツ人の親友ルディとの愛憎・確執の物語。原題はここから来ていよう。
 三つ目は、ナチスドイツによるユダヤ人迫害の物語。

 三つの流れを絡ませて、ユダヤ人にとって最も過酷な時代に、親友に裏切られ、恋人を奪われ、アウシュビッツで父親を殺されながらも、「一休さん」ばりの機知で幾度も生命の危機を潜り抜け、最終的には友(=敵)を出し抜いてフィアンセと絵画を手に入れることに成功した男の物語を小気味良く描こうとしているわけである。
 その意図はわかるが、「かなり無理があるなあ~」という気がする。


 まず、一つ目のミステリー部分であるが、謎が凡庸である。絵画の隠し場所がポイントなのだが、これが見抜けない者がいるだろうか。「木を森の中に隠す」じゃないが、これを見つけ出せないナチスの輩はよっぽど馬鹿じゃなかろうか。あまりの意外性のなさは、かえって意外であった。
 二つ目の友情ドラマについては、描き方があまりに粗雑過ぎる。ルディは25年間お世話になってきたユダヤ一家を、幼馴染の親友をナチスに入党することで裏切るわけである。それなりの心のドラマがあってしかるべきである。それがまったく描かれない。
 なるほど、ルディとヴィクトルは同じ女性レナ(ウーズラ・シュトラウス)を好きになり、レナは権力を笠に着るドイツ人のルディでなく、身ぐるみはがされる宿命にあるユダヤ人ヴィクトルを選ぶ。それはルディがヴィクトルを憎む理由の一つにはなるかもしれない。しかし、それならそれで嫉妬から憎悪に至る心の過程が描かれるべきである。
 ルディの半生を描くだけでも深い人間ドラマ足りうるはずなのに、それをあっさりと片付けてしまう。あまりにも不自然、というかお座なり。
 三つ目のユダヤ人迫害は、映画に扱われる古今東西のテーマのうちもっとも重いものの一つと言える。ヴィクトルの両親はアウシュビッツに収容される。父親は殺されてしまう。ヴィクトル自身も今や虫けらのような存在である。十分シリアスである。
 しかし、シリアスさが伝わってこないのである。父親を殺されたヴィクトルの怒り・悲しみ、婚約者をルディに奪われた怒り・苦しみ、たくさんの同胞を虐殺された怒り・無念さ、ナチスドイツへの憎しみ・恨み、自身の無力への苛立ち、未曾有の悲劇を前にした絶望と神への懐疑と信仰の揺らぎ・・・。当時のユダヤ人なら抱いたであろう感情がヴィクトルからはほとんど感じ取れない。ヴィクトルは本当にユダヤ人なんだろうか?と思ってしまうほどだ。


 これは役者の演技の拙さというより、設定そのもの、脚本自体の拙さのせいだ。
 それぞれ一つだけでも十分語り甲斐のあるストーリーを一緒くたにしてしまったところ、つまり盛り込みすぎ、欲張りすぎたのが失敗の一因。
 しかも、それらのストーリーの比重が違いすぎてバランスが悪い。盗まれた絵画ミステリーとしての軽やかな娯楽性と、親友の裏切りやアウシュビッツの惨劇といった重いシリアス性とは一緒くたにできなかろう。たとえて言えば、「南京大虐殺を舞台に従軍慰安婦A子がラストエンペラー(愛新覚羅溥儀)の所有していた秦の始皇帝の秘宝を探す娯楽ミステリー」なんて感じだ。
 ラストで絵画を手に入れたヴィクトルが母親とフィアンセ共々、あっけにとられるルディを尻目に得意満面に立ち去るシーンなど、虐殺された父親や同胞の悲劇や恨みを背負っていないかのような颯爽とした表情のヴィクトルが鉄面皮か薄のろに見える。

 なぜこんな不具合が起こったのか。
 筋の面白さ、巧みさを優先して、人間の心理をなおざりにしてしまったからである。
 『ダ・ヴィンチ・コード』のように、純粋に絵画ミステリーに焦点を絞って、背景ももっとフィクショナルなものにしておけば良かったのに・・・。

 カメラを回す前の時点での失敗である。


評価:D+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」
     
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!


 

● 映画:『阿賀の記憶』(佐藤真監督)

 2004年日本映画。

 前記事で取り上げた映画の続編。十数年後の阿賀の様子を撮したものである。

 正直、退屈した。
 映画的作為が前作より目立つ。ドキュメンタリーというより一個のフィクションとして撮ったものと言った方が正解かもしれない。
 一方で、佐藤監督が阿賀と「阿賀に生きる」人々に対して持っている思い入れがあまりに強くて、その人々がいまはそこに居なくなったことに対する感慨があまりに深くて、それが監督ほど思い入れを持たない観る者(多くがそうだろう)には共有されるべくもないことにどうやら監督自身は思い及ばなかったらしく、独り善がりの閉鎖性の強い作品になってしまっている。
 思い入れを観る者に共有してほしいのならば、映画的作為にこだわるのはほどほどにして、もっと物語性を持たせるべきだ。湯気の立つやかんと人の座っていない空の座布団――そこは『阿賀に生きる』に登場した愛すべき老人の特等席だったーーだけの映像を延々と見せられるのは、監督の思い入れをさほど共有していない者にとっては苦痛でしかない。映画的作為が悪目立ちする結果になってしまった。

 プライヴェートフィルムならともかく、これは撮らない方が良かった。亡き佐藤真監督の名誉を守るためなら、入場料を取って上映すべきではない。



評価:D+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

● 変換ミス 映画:『リバーワールド』(カリ・スコグランド監督)

 2003年アメリカTV映画。

 原作はアメリカのSF作家フィリップ・フォセ・ファーマーの同名の人気小説。未読だが、SF界でもっとも権威のあるヒューゴ賞に輝いているし、ストーリーのダイジェストからも相当に面白い小説と思われる。

 リバーワールドは、ネアンデルタール人から21世紀の人類、合わせて360億人(5歳以下の子供を除く)が、死んだすぐ後に復活した世界(惑星)である。宇宙飛行中に不時着してしまった主人公がこの世界の謎を解かんとする。歴史上の人物たち(例えば、マーク・トウェインと皇帝ネロ)が同時代に存在し、交流を深めたり、闘ったり・・・。というアイデアは秀逸で、機会があったら原作を読みたいものである。

 しかし、この映画は原作の名を貶めるひどい出来。
 テレビ放送用に制作されたという点を差し引いても、あまりに杜撰で、薄っぺらく、下手な演出が目立つ。
 トールキン『指輪物語』 → ピーター・ジャクソン『ロード・オブ・ザ・リング』
 松本清張『砂の器』   → 野村芳太郎『砂の器』
ほどの質の高い変換はそうそう望めないことは分かっている。
 けれど、ここまでひどいと原作者がかわいそうである。



評価: D+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
        ヒッチコックの作品たち

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」
        チャップリンの作品たち   

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!



 



  

● 映画:『今日も僕は殺される』(ダリオ・ピアーナ監督)

 2007年アメリカ映画。

 主人公イアン青年は、毎日午後5時過ぎになると何者かに殺され、記憶を消されて、新たな人生に送られる。
 そのことに徐々に気づいてきたときから、奇怪な人物や出来事が次々と襲いかかってくる。
 一体なにが彼に起こっているのか?

 シチュエーション自体は面白いと思う。
 テンポも悪くない。
 観る者は、イアンの立場に身を置いて、混乱や疑惑や恐怖を体験し、次第に明らかにされていく真相に強く気を引かれることになる。

 しかし、その真相とやらがいただけない。
 新機軸もなければ説得力もない。
 イアンが毎日殺されなければならない理由も釈然としないまま、理屈の分からない解決方法で決着する。
 不条理ミステリー&サスペンスと思っていたものが、化け物ホラーに堕してしまうのも残念。

 同様の設定でなら、ジョン・オーガスト監督の『9-ナイン』(2007年)のほうが断然素晴らしく、気が利いていて、感動的。(「ナイン」と題した映画はたくさんあるので要注意)



評価: D+

参考: 

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 

「東京物語」 「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。

「風と共に去りぬ」 「未来世紀ブラジル」 「シャイニング」 「未知との遭遇」 「父、帰る」 「フィールド・オブ・ドリームス」 「ベニスに死す」 「ザ・セル」 「スティング」 「フライング・ハイ」 「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」 「フィアレス」 ヒッチコックの作品たち

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。

「アザーズ」 「ポルターガイスト」 「コンタクト」 「ギャラクシークエスト」 「白いカラス」 「アメリカン・ビューティー」 「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。

「グラディエーター」 「ハムナプトラ」 「マトリックス」 「アウトブレイク」 「タイタニック」 「アイデンティティ」 「CUBU」 「ボーイズ・ドント・クライ」 チャップリンの作品たち   

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)

「アルマゲドン」 「ニューシネマパラダイス」 「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ~。不満が残る。

「お葬式」 「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった

「レオン」 「パッション」 「マディソン郡の橋」 「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!






 
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