日時 11月3日(木)
天候 晴時々曇り
行程
 7:30 JR青梅線・軍畑駅
  歩行スタート
 8:00 高源寺(登山口石碑)
 9:20 常福院
 9:30 高水山頂上
10:00 岩茸石山頂上
       昼食休憩
10:40 出発
11:20 惣岳山頂上
13:15 玉川屋
 歩行終了
所要時間 5時間45分(歩行4時間+休憩1時間45分)
最大標高差 550m

 久しぶりの山登りは慎重を期して、奥多摩入門編とも言われる平易なコースを選んだ。登ったのは10年くらい前だから新鮮さもある。

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 軍畑(いくさばた)――戦国北条氏と三田氏がこの地で戦ったことに由来――の無人駅で降りると、早朝の奥多摩の瑞々しい空気に心身が若返る思いする。
 せせらぎ、けざけやかな鳥の声を耳に平溝川に沿った舗装路を歩く。都心とスマホでまとった有害な電磁波(=気)が、新鮮な力強い気の浸透と入れ違いに体表に浮き上がって、心臓から両腕に凝りを蘇らせながら、体外に抜けていく。小一時間で完全に抜けた。スマホは心臓に悪いのかもしれない。
 気力充実。
 観るもの、聞くもの、すべてが新鮮である。


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 昨夕からの雨は夜半には上がって、空は晴れる兆しを見せているものの、山裾にはまだ雲がたなびいている。
 目的はあの山か。

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 登山道入口の石碑の裏に高源寺と天之宮神社がある。かつての参拝者はここで道中の安全を祈り、修験者は修行の進展を願ったのであろう。想定される危険は、転落や道迷いだけではない。ほんの数日前に、この山で熊が目撃されている。
 

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 誰とも(熊とも)会わないまま山頂直下の常福院に到着。不動明王を祀っている。
 本堂の裏手に三体の仏像が納まった木造の祠がある。
 釈迦三尊像?
 不動明王の従者のセイタカ&コンガラ童子? 
 中央のお釈迦様の背後には、剣に巻きついた大蛇の姿がある。お釈迦様を脅かしているようにも守っているようにも見える。この大蛇こそ不動明王の化身であろう。とすると、蛇ではなくて龍である。
 

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 ほんの一息で高水山頂上に到達。
 見晴らしは良くないが、明るい平地で木々を抜ける風が心地よい。
 前回来たときは曇っていたっけ。

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 下っては上って、30分ほどで第2目標の岩茸石山頂上に着く。

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 振り返った都心方向の眺めが最高!
 関東平野が一望のもとにある。
 さっきまでいた高水山に向けた視線のはるか彼方に、針のように細い塔のシルエットが肉眼でもおぼろに見える。東京スカイツリーだ。やっぱり高い(634m)。
 その並びに都心の高層ビルたちが歯の抜けた櫛のように乱立している。
 それらと山頂との中間地点に見える白い貝殻のようなものは所沢の西武球場ドーム。光を反射する白い屋根は、奥多摩や奥武蔵のどの山頂からもすぐに発見できる。
 視線を左に向けると、関東平野の彼方に黒くなだらかな山塊が、他の山脈とは一つだけ離れてうずくまっている。筑波山である。
 もっと左を見やると、平野から立ち上がって峰を重ねる秩父の山々が間近に迫る。
 丸山、蕨山、伊豆ヶ岳、黒山、棒ノ折山蕎麦粒山、川苔山・・・。
 登ったことのある山は、親しみが涌く。
 

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 強風に閉口しながら弁当を食べていると、ハイカーが次々とやって来た。軽装の若者が多い。

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 山頂をあとにすること40分ほどで、第3目標の惣岳山頂上に到着。
 ほの暗い森の中、金網に取り囲まれた青渭(あおい)神社奥宮がある。主祭神は大国主命。この厳重な措置の理由は、拝殿の周囲の壁に刻まれた彫刻にあるらしい。たしかに、こんな平凡な山には似つかわしくない見事な彫刻である。
 蛙と話す老人。中国の故事だろうか。

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 下山路は登りに較べて長くて険しい。昨日の雨で滑りやすいところも多々あって、神経を使った。
 これは工芸品?
 偶然の(自然の)産物?

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 途中で30分ほど木の根元に座して瞑想する。すぐ背後を、ハイカーが鈴を鳴らしながら通り過ぎる。ハイカーも熊も気にならないくらい深く穏やかな‘定’に入った。

 無事下山。
 御嶽駅のすぐ近くに「玉川屋」というそば屋がある。
 かや葺き屋根の民家風の建物は、創業大正4年の伝統を感じさせる。化学調味料を一切使わない本鰹節でとっただしつゆ、使っているのはむろん山の水。出来たての手打ち蕎麦に舌鼓を打つ。
 

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もりそば760円

 店の中に飾られている達磨人形は、長い黒々した眉毛とヒゲを垂らしている。店の人に尋ねると「長寿と商売繁盛の願いを込めて」の土地の風習とか。
 達磨大師は9年間壁を向いて座していたそうだから、伸びるのは道理である。
 

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 線路沿いの木々は紅葉が始まっていた。
 盛りはどの山で見ようかな?

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