1970年東映。
藤純子主演の日本女侠伝シリーズ第2弾。
開拓時代の北海道が舞台となる西部劇風ドラマである。
普段はきっちりと帯を締めた着物に結い上げた髪も艶やかな藤純子が、『二十四の瞳』の女教師の如く、洋装に髪を長くたらし上品な日本語をあやつる姿は、「おっ」と思うほど新鮮である。すっきりした顎のラインと典雅なたたずまい、声優の池田昌子によく似た声は、オードリー・ヘップバーンを思わせる。
藤純子とヘップバーン。まったく思いもつかなかった相似に惑乱する。
西部劇で言えば「シェーン」のように、風のように現われて風のように去っていく高倉健も相変わらず渋くてカッコいい。
高倉健演じる風見五郎が藤純子演じる松尾雪に愛を告白するシーンの気障っぽさといったら、ほとんどポエムである。アイ・ラブ・ユーという言葉を持たないこの時代の日本人が、いきなり相手を奪うのではなしに(とりわけそれはストイックな健さんには許されない)、相手に気持ちを伝えるには、どうしても歯の浮いたセリフと気の利いた演出を用意しなければならない。それが日本映画の恋愛シーンの繊細さ(あるいは歯がゆさ)を生んできたのであろう。
冗談とも本気ともつかぬ口調で「お前に惚れたんだ」と欲望まるだしで雪に迫るトッカリ松(=山本麟一)を歯牙にもかけず、「アイ・ラブ・ユー」を言わない(言えない)風見五郎を選びとる雪の姿勢に、日本人の言葉に対する不信を読むと言ったらうがちすぎだろうか。
評価:C+
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!