7日目(3/18)延岡~高千穂~熊本
 7:30延岡駅バスセンター ~ 8:30高千穂バスセンター(宮城交通バス)
  ・高千穂巡り
    高千穂神社~高千穂峡~くしふる神社~神武天皇生誕地
    ~高天原遥拝所~天岩戸神社~天安河原
 16:31高千穂バスセンター ~ 19:10熊本交通センター(宮城交通バス)
 熊本市内のカプセルホテル泊

 延岡にははじめて降りたが、この町には実は「日本一高い弘法大師像」(17メートル)がある。
 空海ファンとしては、見逃すわけにはいくめえ。
 早朝、雷雨の中を30分かけて歩いて見に行った。
 延岡と弘法大師に何か直接的なゆかりがあるのかと思ったのだが、どうやらそうではないらしい。次のような縁起がある。

 1839年(天保10年)延岡の地で疾病が猛威を振るいました。
 そこで延岡城下の大師信徒たちが高野山金剛峰寺(こんごうぶじ)まで行き、弘法大師座像(現在の本尊)を勧請(かんじょう)して「家内安全」「息災延命」「五穀豊穣」「商工発展」の祈願のために大師庵を経てたことが縁起となっています。(今山大師ホームページhttp://www.imayamadaisi.com/

 大師像は、4月16日から始まる命日の大法要に備えて化粧直し中であった。大師を取り巻く仏像たちがなかなか表情に富んでいて愉快。

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 バスで高千穂に入る。
 日本人なら知らぬ人とてない天孫降臨の地。神話と伝説が生きる秘境。神秘的で高貴な高千穂峡。そして、屈指のパワースポットである。
 腹の調子も疲れもなんのその。高千穂に降り立ったら(もちろん、バスからである)、急に元気が出てきた。さすがパワースポット。
 荷物を観光案内センターに預けて、地図をもらい、見所を教えてもらって、半日の高千穂巡りスタート!

 まず、高千穂神社。
 祭神はニニギノミコトほか(失礼)。
 ニニギノミコトは天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫にあたり、アマテラスの命により、葦原中国(つまり日本)を統治するため高天原(たかまがはら)から地上に降りたとされる神である。これがいわゆる「天孫降臨」。
 降りた場所が、この高千穂のくしふるの峯とされている。
 さて、ニニギノミコトは木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)と結婚し、3人の男児をもうけるが、その一人が天津日高日子穂穂手見命(アマツヒコヒコホホデミノミコト)、すなわち神武天皇の祖父である。
 つまり、こうなる。


 アマテラスー○○ノミコトーニニギノミコト(天孫降臨)ーアマツヒコヒコホホデミノミコトー○○ノミコトー神武天皇(初代天皇)

 なんとしたことか。
 自分が屋久島の宮之浦で何の気なしにお参りした益救神社の祭神は、ニニギノミコトの子供ではないか。海を越えて、親子の神を知らずにつないでいたのだ。なんだか謀られているようだ。

 高千穂神社の境内は、清らかであるが熱いパワーに満ちていた。伊勢神宮の内宮を拝んだ時と近いものを感じた。その場にいると、ポーっとして、あたりの空気に体ごと溶け込みそうになる。

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 高千穂峡はそこから車道を歩いて20分くらいだが、もっとずっと良いアクセスがある。高千穂神社の拝殿の右後ろに種田山頭火の碑がある。ここから続いている気持ちのいい森の中の歩道を行けば、高千穂大橋の真下をくぐって、次第に大きさを増してくる渓流の響きを頼りに、五ヶ瀬川へと抜けられる。
 あとは、流れに沿って、切り立った崖の続く見事な景観を楽しみながら、高千穂のトレードマークたる真名井の滝をゴールとする素晴らしいウォーキングが楽しめる。
 帰りは、傾斜のゆるい車道を登ればよい。
 掛け値なしのおすすめコースである。

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 いったんバスセンターまで戻って、次はくしふる神社(字が難しいので開いた)まで歩く。この神社のある山に神々はご降臨され、近くにある小高い丘(高天原遙拝所)でふるさとである天界を拝んだと言う。この一角には、また神武天皇生誕地もある。
 いずれも神話上の話であり、史実では無かろうが、この慄然とするほどすばらしい「気」の中にいると、そういったおとぎ話も実際にあったのではないかという思いがしてくる。文字通り「気のせい」だ。特に、高天原遙拝所あたりの透明感あふれる清らかさは、全身の細胞に浸透して身も心も生き返らせてくれる。
 神社の境内では、パワースポットツアーの一行が外国人の女性(霊能者?)に先導されて、神妙な顔をしてあたりを拝んでいた。

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 いったんバスセンターまで戻り、最後は天の岩戸。ここはバスでなければちょっと無理。
 天の岩戸神社のご神体は、言うまでもなく、天の岩戸そのものである。西宮の拝殿の後ろを流れる岩戸川の向こう岸に、木々に埋もれている大きな裂け目がそれである。社務所にお願いすれば見学(遙拝)することができる。
 案内してくれた若いちょっとイケてる宮司さんの説明に驚いた。
 アマテラスオオミカミについて、だいたいこう語ったのだ。
「菅原道真公が亡くなられてから祀られて天神様(太宰府天満宮)となったように、日本人は、生前人々の記憶に残るような偉業をなした人物や非業の死を遂げた人物を、亡くなった後に神様として敬う習慣があります。おそらく、アマテラスも当時実際にいた非常に力のある女性のリーダーだったのでしょう。それが亡くなった後に、人々は彼女を偲んで神様として祀ったのでしょう。」
 天孫降臨を否定している。
 むしろ逆。人天上昇だ。
 本家本元で(伊勢神宮はおいといて)、こうまではっきりと言うとは思わなかった。右翼対策は大丈夫だろうか。
 それにしても、「当時実際にいた非常に力のある女性のリーダー」と言えば、誰でも思い当たるのが卑弥呼であろう。手塚治虫の『火の鳥』古代編でも、アマテラス=卑弥呼説がとられているが、実際魅力的な説である。「卑弥呼」もおそらく「日巫女」か「日見子」の意だろうし。天の岩戸神話が実際にあった皆既日食をもとにつくられたとすると、古代日本で皆既日食が見られた年(247年)と、卑弥呼の没年は重なるそうである。いよいよもって有力だ。邪馬台国は高千穂か? いろいろ思いをめぐらすとワクワクする。
 ところで、この岩戸の扉は、はるか長野県まで飛んでいって戸隠神社のご神体となったのである。(ブログ記事「長野パワースポットツアー」参照http://blog.livedoor.jp/saltyhakata/archives/4662547.html

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 天の岩戸に引き籠もったアマテラスをどうやって外に引っ張り出すか、神々が相談したのが天安河原。会議にうってつけの中の広い洞窟がある。
 アメノウズメノミコトのけつまくった舞いによって天の岩戸からおびき出されたアマテラスが、最初に遷り住んだのが岩戸神社東宮である。ここまではあまり観光客が足を運ばないので、高い杉木立に囲われた空間を静かな、落ち着いた空気が支配している。ここで40分ほど冥想した。

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 バスで阿蘇を通って熊本入り。JR熊本駅の新しい駅舎は、安藤忠雄デザインだそうである。なかなか瀟洒で品もあって良い。熊本出身の友人の話では、このあたりは昔赤線があったらしい。


8に続く。


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